Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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作戦が決まれば取り敢えずバリケードの机を退かす。これは銃を持ってない面子が率先する。
配置は、後ろの窓側に私とちーちゃん、紫原くん。前の廊下側に伊月くん。銃を持ってない人達と氷室くん、護衛代わりにショウちゃん。後ろ扉と対角の一番遠い所に岡村くん。そして、今揉めてるのが黄瀬くん。

「え、本当に俺がやらなきゃいけないんスか?」
「銃持っとって役割も無く、素早いん君しかおらんさかい」
「え、いや、でも…」

扉を開ける役割がそんなに嫌なようだ。まあ、嫌だよね。早く逃げなきゃゾンビが来るし、私の第一撃が扉に当たりでもしたら跳弾で危ない位置だし。実はちーちゃんが一番最適な人材だけど、スナイプする役割がある。

「黄瀬くん」
「何スか?」

声を掛けると拗ねたように振り返られた。

「大丈夫。私が守るよ。絶対黄瀬くんの方には行かせないから」
「…!みのりっちー!」

何だか感動してくれた。裏の意味は、だからさっさと承諾してね、なのだが。やる気になってくれればまあ良い。黄瀬くんは扉を開けたら岡村くんのところにダッシュ、その後は私とちーちゃんの撃ち損じをカバーする役。

「紫原くん」
「ねえ」
「ん?」

アレ?声掛けたの私なのに何で呼び掛け返された?そう思って見上げれば遥か上から声が降る。

「何でさっきは敦くん、だったのに今は名字呼びなの?」
「あの時名字分からなかったから」
「ふーん」

拗ねてる?可愛い。名前呼びが良いのかな?

「あっくんって呼んでいい?」
「…!うん。いーよ、みのりちん」

あだ名を付けたら嬉しそうにしてる。私まであだ名呼びにされたが構わない。氷室くんのことを室ちんと呼んでいたから、彼なりの呼び方なのだろう。

「じゃああっくんや、重いけど運搬任せたよ」
「みのりちん軽いから全然へーきだし」

ああ、そういえばさっき高い高いされたっけ?あれは怖かった。しかしあんな体勢なのに安定してたから任せられる。何より大人と子供程の体格差があるからね。身長くれ。

宜しくの意味であっくんに親指を立ててから銃を構える。いつでもいいよとショウちゃんと黄瀬くんに目を向ける。ちーちゃんからも合図が出ればショウちゃんがGoサインを出した。

ガラッ

黄瀬くんは扉を半分程開けてダッシュで離れる。一番に目に入るのは私。こちらに走るモーションを見せたゾンビの頭を粉砕する。すぐにレバーアクション。
次はちーちゃんが一撃。胴体で良いと言ったのだが普通に頭を狙うちーちゃん上手過ぎ。ワロえないわ。
倒れる二体目を押し退けて三体目。重なっているがなるべく冷静に左目の辺りを撃ち抜く。

ここで、伊月くんがそっと廊下を確認。二本の指を立てた。
見える範囲で、後二体。
次のゾンビの眉間を撃ち抜いたちーちゃんはそのまま前扉へと走る。目の端にちーちゃんがマグナムに持ち替えるのを見ながら、五体目のゾンビに銃口を向けた。
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