Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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注目されて初めて周りを見渡す。
あー、そう言えば、治療前に熱烈なラブシーン()を見せてしまったんだっけ。なんだかお相手が私でちーちゃんに申し訳ない。みんなもお目汚しすみません。

さて、この教室やけに広いと思ったら机が扉の前に積まれ、バリケードになっている。扉が開けられる前もこの状態だったのだろう。一回崩れたな、という痕跡もある。今積んでたみたいだし。
気になるのはもう一つ。紫の頭の子、デカイ。私にとってショウちゃんやちーちゃんもデカイが、なんかあり得ないくらいデカイ。岡村くんも巨人だと思ったのだが、更に大きい事が分かる。うーわー。

「みのりさん」

落ち着いた声に思考を戻してそちらを見ればツボちゃん…大坪くんがいた。彼も6人の非合流者に名を連ねてたから、いて当然っちゃ当然。他に見た事ない子が5人。おお、黒い!……失敬。これで全員だ。
ツボちゃんに駆け寄るとついでにたいあたり!軽く受け止められた。
こうかはいまひとつのようだ。

「ツボちゃーん、久し振りー。怪我ないかい?」
「俺は平気だ。ここにいたみんなも特に問題はない。擦り傷や軽い打ち身はあるが……。いるのはみのりさんと彼らだけか?」
「いや、他の子達もいる。秀徳はキヨ、ムラくん、高尾くん、緑間くん。他の学校の子はショウちゃん辺りに聞いて。名前分かんない子が多いから」
「そうか、みんないるんだな」

嬉しいような悲しいような、複雑な顔をしてからぽんぽんと私の頭を撫でて、ショウちゃんの方へと行く。
なんか青くて黒いのとコーンロウだっけか?と、黒髪のキラキライケメンにじっと見られてて居心地悪い。と、思っていたら真後ろにデカイ紫が。てか首痛い。

「ねえ、お菓子持ってない?」
「…いや、何にも」
「えー」

思ったよりも緩い話し方でむすっとしている巨人。拗ねてる?意外と可愛いかも。手にはポテチの袋が。多分中身は空なのだろう。

「お菓子食べたいの?」
「うん」
「……一階の食料庫。菓子類あるかも。無くても材料はあったからさ、一階着いたらなんか作ろうか?ハニートーストとか、パンケーキとか」

クッキーとかその辺りもいけるかな?そう考えていれば巨人さんの顔がぱあっと明るくなった。……可愛い。
彼は軽々と私を持ち上げて高い高いをしてくる。ちょ、マジ高い!天井近い!頭当たる!

「みのりちん、だっけ?あんた良い人!好きー」
「こら、アツシ!」
「あー、アツシくん。よしよし。分かったから降ろそうか、ね?」
「あー!紫原っち、何してるんスかー!?」

あんたの横にいるキラキラした鬼◯郎ヘアーなイケメンさんが怖いから降ろそう。多分彼が怒った理由は、紫原くんが私を抱っこしたからとかじゃなくて、得体の知れない人と近いから、だろう。警戒心剥き出しだから。イケメンが睨むと怖いよ。

みんなに諭されてやっと降ろしてもらう。紫原くんは早く一階に降りたいとうずうずし始めた。

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