Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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いつまでもここでのんびりしているわけにもいかないだろう。ずっと机に軽く腰掛けていたがやっと立ち上がる。

「取り敢えず、この部屋に何かないか探す?」
「みのりサンが寝てる間に探したけど何にもなかったよ」

おお、仕事が早い。
なら探索してみようか、と話し合ってから廊下へと出た。
廊下も薄暗い。教室と変わらない暗さだ。一応見通しは効くな、と考えてから今いた教室のプレートを見た。
1-8
……どれだけクラスがあるんだろう。
うんざりした顔をしたら高尾くんに笑われた。というか君笑い過ぎ。

「どっち行く?」
「取り敢えず下?出口って普通下だよね」
「じゃあ、そこから降りようか」

8組に向かって左にはプレートには何も書かれていない、多分空き教室が一つ、右は6組、向かいに7組がある。多分ずらっと1組まで並んでいるのだろう。空き教室の向かい、7組の横にトイレ、その奥には階段が見える。
高尾くんとそちらに向かおうと足を進めれば後ろから足音がした。
というか、走ってる…?
後ろに目を向ければ長身の二人組が走っていた。

「なんなのだよ、なんなのだよオオォォ!」
「なんで付いてくるんスかあぁぁ!」

緑の髪と金髪の彼らの後ろにはバイオハザード風味のゾンビがダッシュしている。二人は結構足が速いようなのにゾンビとの距離は開かない。

「真ちゃん!」
「高尾!逃げるのだよ!」

そういえば高尾くんのジャージと緑の彼のジャージが同じだと暢気にも考えていれば、高尾くんに腕を掴まれて引っ張られる。
あ、逃げなきゃダメか、と気付いてちゃんと足を動かし始めるが、いかんせん足が速い方ではないため、高尾くんに引っ張られたままだった。自分の所為で遅いため緑と黄色の彼らはすぐに追いついた。

「ちょ、何アレ!」
「知らないのだよ!早く行け、追いつかれるぞっ!」

ゾンビのものらしきペタペタという足音は確実に近付いている。このままでは高尾くんを巻き込んでしまう。
逃げ切る為のことを考えるとこれが一番いい。そう思えば高尾くんに引かれる腕を思いっきり下へと振った。上手いこと手が離れればゾンビの方を向く。
上手くいくかは分からない。ただ、なんとかなりそうな術は持っている。

「みのりサンっ!」

慌てたような高尾くんの声。迫るゾンビ。
私は片膝を着いてロングスカートの下へと手を差し込むとソレを手に取った。
ロマン武器、デザートイーグル。
ハンドガン戦ですら使いやしないのに見た目重視で挿しっぱなしだった銃を取って、構えて、撃った。

狙いは、脂肪の少ない膝。
デザートイーグルはハンドガンの中でも高威力。
更に外すはずのないこの近距離。

「グアアァァ!」

予想外にもゾンビの膝が抉れて血が噴き出す。ゾンビの動きは止まった。
よし、と小さくガッツポーズをしながら振り返って走り出す。

「今の内に!」

足を止めてこちらを呆然と見ていた彼らを急かすと彼らはまた走り出す。
勢いそのままに階段を駆け下りて一階へとたどり着けば、手近な教室に飛び込んで鍵を閉めた。

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