▲ SEVENTEEN Novel ▲

□幼児退行?
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仕事を終えいつもより遅い時間に眠りにつく。
ジフンの場合、他のメンバーより睡眠時間は不規則である。
新しい曲のインスピレーションがわけば時間を問わず作業に入ることが多い。
今日もメンバーよりも遅い時間に眠りにつく。

「場所が無い…」

各部屋を覗くが布団にぎゅうぎゅう詰めになりながら寝ている。
夏は冷房のある部屋に人が集中する。
ため息をつきながら唯一空いている部分に何とか体を滑り込ませる。
元々の眠気や冷房の心地よい温度もあって知らない間に眠りについた。


「…うん?」

何故か胸のあたりに違和感を感じ目が覚める。
自分の服がめくれ上がっており違和感を感じる胸には誰かわからないが頭が見える。
だんだんと意識が覚醒してくる。
髪型や体格、服装をみれば長年生活してきたのだ誰かくらいはわかる。
明らかにデカイ奴がジフンを抱きしめている。

「おい、ミンギュや。」

他のメンバーには気づかれないように小声で呼びかける。
だがミンギュの行動は修まらない。
変わらずミンギュはジフンの乳首を吸っている。
最初は小声で起きるように呼ぶが起きる気配はない。
だんだんとイライラしてきたジフン、もともと気が長い方ではない。
そろそろ我慢の限界だ。

「キム・ミンギュ!」

まわりに気づかれようがかまわないと思った。
お腹に蹴りを入れる。

「うっ!…ヒ、ヒョン?」

近くに居たスンチョルが目を覚ましたのか、目を擦っている。
だがそんな事は関係ない。

「おい、キム・ミンギュ。
どうして俺に蹴られたかわかってるか?」

「…わかんないです。」

ボーして寝癖がついているミンギュに余計に腹がたつ。
ただでさえ睡眠時間が短いのだ。

「…コレ見ても同じ事が言えるか。」

自分で服首元までグッとめくる。

「どうしたんですか!
乳首片方だけぬれてるじゃないですか!?
誰がこんな…もしかして…。」

ハッとして自分がしたことに気がついたのか、すぐそこにあるティッシュを取りジフンに差し出す。
ジフンはそれを乱暴に掴み取り乳首を拭く。
まわりは起き上がってくる奴は居ないが笑いを耐えてるような声が聞こえるので確実に起きている者がいる。

「俺はお前の母親か?ん?」

「おれの母さんそんな小さk「あ゛ぁ゛!!!」」

「ヒォォォォォン、ごめんなさぁい。」

(U;ω;)の顔文字に似ている。
まるで飼い主に怒られる犬のようである。

「もう許してやれよ。」

笑いながらスンチョルが言った。

「ふんっ!」


それから数日がたつが、まだ機嫌が直らないのか作業室にこもるジフン。
それからというものミンギュは罪悪感からかずっとジフンの後ろを犬のようについてまわっている。
作業室に入れば飲み物とタオルを持っていったり、夜遅くまで作業をしていれば夜食を持っていったり。
宿舎で暮らしているのでほぼ毎日である。
そんな様子が1ヶ月くらい続いた。

「もういいぞ。」

「えっ?」

「だから、もう俺の世話しなくていい。
怒ってないから。
ミンギュも自分の作業があるだろ。」

「はい…。」

ミンギュも途中からわかっていたのだ、ジフンは怒ってないと。
だがジフンの生活を見ていていつか倒れてしまうのではと心配するようになっていた。
曲作りのことでジフンは他のメンバーより睡眠も食事も不規則である。
デビューしてからというものその忙しさは増えたような気がする。
そんなミンギュの勘は嫌な形で当たってしまった。

もういいと言われていても、ジフンが作業室に入るのを確認しキッチンに飲み物を取りに行っている自分がいる。
もうこれは反射レベルである。
少し恥ずかしく思いながら、せっかく用意したのだ。
渡さなければもったいない様な気がしてジフンの居る作業室に持っていく。
ドアをノックしようとした瞬間、何かが落ちたような軽い音が聞こえる。
ドアを開けるとそこには床に倒れているジフンが居た。

「ジフニヒョン!」
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