▲ VIXX Novel ▲

□曖昧な関係から 上
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「レオやぁ〜」

レオの前の席に行き、椅子をまたぐ形で座る。
腕を組んで音楽を聴いているレオに向き合って話しかける。

「………。」

「レオやぁ〜」

「………。」

話しかけてもこの反応。
大抵2人で過ごしている時はこうである。

「レオレオレオレオォォ〜」

「…うるさい。」

やっと返事をした。
レオは昔からそうだった。
自分の関心のない事は聞いていないか、もしくわは聞こえないフリをする癖がある。
この癖のおかげでレオの友達は腐れ縁の僕しかいないのではないだろうか。
僕もこの性格にてこずった記憶がある。
だが接していくうちに慣れていき、お互いの距離がわかるのにそんなに時間はかからなかった。

「次の体育、サッカーだってさ。
ヤダねぇ、僕これ以上焼けたら影と同化しちゃうよ。
それにレオも焼けたら赤くなって痛いだろ?」

「…別に。」

レオの返事はいつも最低限だ。
僕が渾身の自虐ネタを言ってもクスりもしない。
レオも色々と思っていることがあるが、いわゆる口下手なのだろう。
付き合っていくうちにわかったことである。
だが、それゆえにクラスメイトなどには理解されるわけもなかった。
僕はレオの通訳、つまりお世話係のような存在になっている。
学級委員をしている僕にとっては迷惑な話である。
そんなことを考えていたが時計をみると次の体育の時間まであと5分の時間になっていた。

「早く着替えて行かなきゃ!」

僕がそう言うがもちろん返事はない。
だがレオは黙ってついてくる。
なんだかんだ言ってもこの関係をお互いに気に入っているのだ。
でなければ、いくら腐れ縁とはいえ、こうも一緒には過ごさない。
ただでさえ宿舎で同室なのだから。

ここまで見るとコミュニケーションにやや難ありだが、大人しくしていれば可愛らしく見えるかもしれない。
いや、そんなの大間違いである。
レオの身長は183a、運動部でもないのに運動神経は良い。
だが極度の負けず嫌いに一度決めたらなかなか譲らない頑固な時もあったりする。
顔も可愛い系というわけではなくシュッとした輪郭に切れ長の目をしている。
そんな巨人が無口で無表情でいてみろ、可愛いどころか怖いし威圧感もすごいのだ。
もちろん僕だって一応180aあるし、コミュニケーション能力だって学級委員を任されるくらいにはある。
それに自分で言うのもアレだが顔だってそれなりに整っている。
ただ唯一のコンプレックスは地黒であること。
親を恨んだことは一度もないが、そのことでいじられた経験は数を数え切れない程ある。
レオは俺と違い肌が白い方なので一緒にいるとパンダだのオセロだの色々とあだ名をつけられた。
今ではそれも受け入れて一緒にいるわけで、むしろネタにして笑いをとってるくらいだ。
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