▲ Monsta X Novel ▲

□野蛮な花
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僕の名前はイム・チャンギュン。
歳は16歳。
現在高校1年生。
親は海外への仕事が多く、僕は1人韓国で生活をしていてる。
そんな僕は独り暮らしの苦労もあるが、楽しく学校生活を送るはずでした。


「おはよう」

高校1年生の冬。
かすかに雪が降り、吐く息も白く寒さに震えていると突然声をかけられた。

「お、おはよう…ございます」

顔を見た瞬間わかった。
一つ上の学年のヒョンウォニヒョンだ。
ヒョンウォニヒョンは学校1美形と言われ全学年の生徒で知らない人は少ないだろう。
漫画の中から出てきた様だとみんなが言っていたのを聞いた事がある。
でも、なぜそんな有名人に声をかけられたのかは、さっぱりわからない。

その時は、挨拶と会釈をして自分の教室に向った。
それからというもの1日1回は挨拶をしている様な気がする。
不思議に思いながらも、年上の向こうがわざわざ挨拶をしているのに無視する事は罪悪感があるし、かと言って理由を聞くほど仲良くもない。
ただ挨拶をしているだけなのだから。

その日、僕は学級委員の仕事で放課後残っていた。
もう一人の学級委員は、流行っている風邪にやられて欠席しているため、僕だけが教室に残り作業をしている。
先生に渡された書類を決められた枚数とり、ホッチキスで留めていく。
単純作業だが地味に時間がかかる。
ふと、何だか視線を感じ、あたりを見回す。
すると廊下側の窓からヒョンウォニヒョンが僕を見ていた。

「あの…どうかされましたか?」

「うんん、別に。
チャンギュンは学級委員の仕事ちゃんとして偉いなぁって思って見てたんだ」

ニコニコしながら言うヒョンウォニヒョン。
その笑顔は女子が見たら黄色い声援だが、僕は微かに恐怖を感じていた。
なぜ、僕が学級委員と知っているか。
それよりもなぜ僕の名前を知っているのか。
深く考えない様にしていたのに、怖くなり背中を冷たい汗が伝う感覚が気持ち悪かった。
そうしているうちにヒョンウォニヒョンは教室の中に入り、僕が座っている前の席に座って僕を見てる。

「何で僕の名前…」

「何でってチャンギュンが俺に教えてくれたんじゃん。
俺たち今まで離れちゃってたけど、もう会えたし大丈夫。
誰も邪魔する奴なんていないし、これからは一緒にいれるよ」

そう言って僕の頬を愛おしそうに撫でるヒョンウォニヒョン。
この人は電波な感じなのか?
「今まで離れてた」って何だよ。
この学校に入るまでヒョンウォニヒョンの事知らなかったのに。
言っている事がまるでわからない。
正直逃げ出したい気分だったけど、まだ作業が半分程残っている。
僕は作業を再開した。相変わらずヒョンウォニヒョンはニコニコと僕を見ている。

「今まで離れてたってどういう事ですか?」

パチン、パチンとホッチキスでとめながら気になっている事を聞いてみた。
どういう事がわからなくて怖いのが1番嫌なのだ。
それに人に騙されない自信もある。

「あぁチャンギュンは憶えてないかもしれないけど…」

そう言って話し始めた内容はあまりにも現実味がなく、それこそ漫画の世界観の話だった。
僕は女でヒョンウォニヒョンと付き合ってたけど、親に引き離されそうになり会えなくなると悟った僕たちは『来世はずっと一緒にいよう』と互いに誓い心中をしたらしい。
恥ずかしそうに照れながら話すヒョンとは対照に僕は言葉を発することもできない。
だってわからない事が余計にわからなくなってしまったのだから。
話を聞き終わったところで、ちょうど僕の作業も終わった。
今はこの場をすぐに離れる方がいい。

「僕もう終わったので帰ります。
ヒョンはどうしますか?」

「俺はもう少ししてから帰るよ〜
お疲れ様」

チュと軽く頬にキスをされる。

「ちょっ!」

僕が怒っているとわかっているのだろうか。
相変わらずニコニコと笑っている。
僕はそのまま書類を持って教室を後にした。

書類を教務室に出して、帰り道の途中。
ヒョンウォニヒョンの事がどうしても気になった。
あんなに顔は綺麗なのに…天は二物を与えずってこの事なのかな?なんて思う。
どうしたら目を覚ましてくれるのだろうかと考えたが結論はでない。
だんだんと考えるよりも楽しんだ方が良いのではないか思い始める。
僕は探偵の推理真似事の如くヒョンウォニヒョンの調査から始める事にした。
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