▲ Monsta X Novel ▲

□義兄弟 A
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ヒョンウォン side

チャンギュンからお弁当を受け取り教室へ戻ると自分の席に2つ年上のウォノヒョンが座っていた。

「ヒョン、どうしたんですか?」

ウォノヒョンは2つ年上だが、病気のせいで単位が足りず留年したそうだ。
詳しいことは知らないし、ヒョンに変わりないので気にしたことはない。
そんな態度がヒョンの中では新鮮だったのか、学年を超えてあっと言う間に仲良くなった。

「そういえば、お前の例の弟みかけたぜ」

「うん、母さんが忘れた弁当持ってきてくれたんだ」

先ほどまで会っていたチャンギュンの表情を思い出す。
チャンギュンが家に来てから、もうすぐ1カ月が経とうとしているが笑顔を見たことがない。
いつも苦しそうな表情をしている。
そのくせ何も言わないのが、何となく面白くなかった。

「チャンギュン、クラスには友達できたのかな」

ふと、疑問に思う。

「あれはどーみても友達っぽくなかったけどなぁ」

ウォノヒョンが返事をした事で自分が言葉に出している事に気付いた。
それよりも、友達に見えない?

「ヒョン、どういう事ですか?」

「いや、さっき見たって言ったろ?
そんとき一緒に居た奴らが悪い噂しか聞いたことなかったからさー」

嫌な予感が脳裏をよぎる。
チャンギュンはたまにだがお腹を押さえてたりしていた時があった。
その時は体調が優れないのかもしれないと思い、特に声をかけたりはしなかった。

「ヒョン、どこ行ったかわかりますか?」

「たぶん使われてない第三棟の方だと思うけど…何か俺も不安になってきたわ。
他の奴、呼んでくるから、お前先行ってろ」

走って第三棟の空き教室を片っ端から見ていった。
話し声がだんだん大きくなって聞こえる。

「お前が来なければっ!」

声とともに鈍い音が聞こえた。
俺は声が聞こえる教室の扉を思いっきり開けた。

教室には数人の下級生と思われる子たちと床にぐったりとしているチャンギュンがいた。
一瞬で血がカッと熱くなるような感覚に襲われる。
だが、ここは冷静にならなけばならない。
深呼吸をして言葉を発する。

「誰の弟に手出してんの?」
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