▲ Monsta X Novel ▲

□義兄弟
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チャンギュン side


僕の名前はイム・チャンギュン。
今年15歳の中学3年生。
大事な受験を控えている僕のところに1本の電話が入った。
電話の内容は両親の乗った飛行機が事故にあったというものだった。
何よりも残酷なのが両親が亡くなった今、僕の家族は誰も居なくなったということ。
両親は駆け落ちで結婚したため親戚の顔すら見たことがない。
僕に残ったのは両親の遺産のみ。
世間を知らない僕はどうすればいいかわからなかった。

「君の両親にとてもお世話になったんだ。
よければ君を息子として迎え入れたいんだけど」

どうすればいいかわからず両親の遺体を前に泣く事もできず立っていたら声をかけられて言われた言葉。
父と同じくらいの歳だろうか、とても背が高く整った顔をしていてよくわからない。
何故かその人の声を聞いてると安心できた。
僕はその場で了承した。

それからはその人がすべての手続きをやってくれた。
話していく間にわかったのは僕より2歳年上の人がいる。
つまり兄ができるということだった。

すべての準備が終わり、チェさんの家で自分の部屋も与えてもらった。
整理整頓が終わった頃、ふと視線を感じ顔を上げるとまるで少女漫画から出てきたかの様な綺麗な顔の人がこちらを見ていた。
一瞬でわかった、この人が僕の兄になる人だって。

「あ、あの…今日からお世話になるチャンギュンと言います」

恐る恐る言うとまるで僕の声なんて聞こえなかったかのように通り過ぎて部屋に入った音がした。
この時あらためて歓迎されていない事を実感した。
わかっていたはずなのに、いざその時になると辛いものだなと心の中でごちる。

「ヒョンウォニヒョン…」

誰もいない部屋で呼んでみる。
きっとこの先呼ぶ機会がないかもしれないけど。
それでも呼びたかった。
無意識に僕の頬を一筋の涙が流れる。
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