NOMAL

□幸せ
1ページ/2ページ

10月、都内某所のカフェ。


新世界グル〜プの後部座席組、くるぶしとあうろんがお茶を飲んでいた。



「なぁ、あうろん」


『何?』


「次の行き先どこだと思う?」


『んー…どこかなぁ、

でも、これからの時期行くなら四国とか関西とか、

寒くないところがいいよね』


「そうだな、北海道寒かったしな、」



そんな話をしながら二人は思い出話を始めた。



「クマ牧場、すごかったな」


『高いところやだ…
次はロープウェイ使わないといいな…』


「お前ほんっとそういうとこ可愛いよな」


『は?!いきなりなんだよ...!
お前だって暗いとこでびびってただろ!!』


「うっ...それとこれとは違うんだよ!ばか!」


『でも、あの時の星、綺麗だったなぁ』


「俺も行けばよかった…」


『ほんとだよ、俺、お前と見たかった』


「何、嬉しいこというじゃん」


『惚れた?』


「んなわけねぇだろ?」










『ふぅん…俺は、好きだけどね。お前のこと。』










あうろんがそう小さく呟くと、

くるぶしは顔を少し赤くした。




『何?照れてるの??かっわいー』




からかうように言ってくるあうろんをじっと見つめると、



頭に手を乗せ、特にセットもされていない、
そのままの髪をぐしゃぐしゃ、と強めに撫でた。




「俺、次の行き先なんてどこでもいいや。


そりゃあ行ってみたいところも沢山あるし、


してみたいこともあるけど。」





『なんで?』




あうろんは、
不思議そうに聞き返した。




「4人でいればどこでも楽しいからな、」




楽し気に笑ってお茶を飲むくるぶしに、そっか、と頷いたあうろんは、




『まぁ、俺も同じなんだけどね』


と小さく笑って見せた。


暫くしてくるぶしが





「あ、でも…」





と何かを言いかけて、やっぱりいいや。と再びお茶に口をつけた。




『なに?』


あうろんがそう聞くと













「なんでもない。







…ただ、俺はお前と隣の席で騒いでいられれば、



それだけで満足だし、幸せだなって思ってさ。」




いきなりの直球の言葉に一瞬驚いた顔をするも、







『そんなに俺の事好きなんだ、


嬉しいこと言ってくれるじゃん』





と、茶化して言った。



「うるせぇ、もう言わねぇ。」



恥ずかしさを隠すように、

赤くなった顔を隠すように

中身のないカップを口につけた。




『ねぇ、くるぶし。』




「なんだよ。」









『大好きだよ。


俺も、くるぶしと一緒にいられれば、それだけで幸せ。


好き、』








「頭が悪い...



俺も、大好きだよ。」









『もう、素直じゃないなぁ、』











顔を背け、にやけてしまう顔を隠すくるぶしをみながら




あうろんはグラスの飲み物を飲み干し、



どちらからともなく目を合わせ、照れたように笑いあうと





「そろそろいこっか」





と言い、店から出て行った。










Fin.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ