花のため息
□合鍵(長編)
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お揃いのキーホルダーの付いた鍵がふたつ。
あの人が置いて行った鍵と返せない鍵。
返してしまうと、ふたりのつながりが切れてしまいそうで… もう、数か月使ってないその鍵を見ながらあの人を思う。
返してと言わない。別れようとも言わない。でも、ふたりの関係は前とは違う。
私は、きっと間違ったんだ。
私は、きっと欲張り過ぎたんだ。
私は、きっと甘え過ぎたんだ。
後悔が私を包む。
どうしたらいいのか、何が正解なのか答えが見つからない。いや、答えなんてないのかもしれない。
私は、ただ、愛されたいだけ。
もう一度、あの人に…
あの人の特別になりたいだけ…