STORY

□君に届け
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Side Rio

「りお君、おめでとう!早いわね〜。もう高校生なんて。」真咲ちゃんのママが訪ねて来た。
「わざわざ、ありがとね。ところで真咲ちゃんは?」母さんが答える。
「誘ったんだけど、予定があるんだって。すっかり親離れしちゃって。交友関係も広がったみたいで…どこに行ってるのか、何してるのかさっぱりよ。」
「どこも、そんなものよ。私たちだってそうだったじゃない。」


僕は、自分の部屋に戻って、ため息をつく。
合格の連絡をメールしたけど、『おめでとう!よかったね。』の返信だけだった。
真咲ちゃんに最後に会ったのは、高校の文化祭の次の日だった。

あの日は…
アメリカ時代の友達が親子で家に来ることになって、学校が休みだという真咲ちゃん親子もママが誘ったんだ。
「真咲ちゃん、昨日はありがとう。とっても楽しかったよ。」「ホンマ〜!良かった!高校の初めての文化祭やったから、張り切ってん。」

『うちのクラスの出し物は焼きそばやから、絶対食べに来てな。絶対やで!』って言ってたから一番に行ってみた。
「わ〜っ!熱っ!わ〜っ!ソースが跳ねる」と
騒ぎながら、作ってた。
「も〜、真咲は作らなくていいよ〜。」「え〜っ!」
「はい、呼び込みするっ!」「え〜っ!呼び込み〜?」
「野菜も切れない、焼きそばも作れない!呼び込みしかないだろ〜」
「はい、はい。わ・か・り・ました。」
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