貢・頂物

□Who are you
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「去年の町内会のクリスマスパーティでプレゼント交換したんだが――」
咄嗟に口をついて出て来た言葉を聞いて、床に転がる春日が顔を歪ませて嘆いている。


女物のイヤリングが春日に貸した部屋から出て来た事でとんだとばっちりを受けたと言わんばかりだが、そもそも本人にそんなやましい事が無かったのなら気の毒だと思うが、恐らく叩けばホコリが出てくる程に心当たりが有るのだろう。
俺が詫びを入れると春日はそれ以上は何も言わずに床に転がったままになった。

「――そうだ、用事を思い出したから少し席を外してもいいか?直ぐに戻るとは思うが……」

俺はそう言い残し、春日の返事を待たずに店の外へと出る。
外では先程大修羅場があったのが信じられない位静かになり、周りの店も夜からの営業を始めようとチラホラと明かりが灯ってきていた。

少し歩いて大通り付近に差し掛かると、角を曲がりながらポケットからスマホを取り出して電話番号を検索する。
目当ての名前を見付けると、通話のボタンを押して耳に当ててコール音を数える。
5回位鳴った頃に、電話の主の声が聞こえてきた。

『――ッ、は・はい、あの……もしもし?』
「ああ、いきなり掛けてしまって済まないな」
『はっ……はいっ!いいえ、そうじゃなくてっ!あの、電話……嬉しい、です』

声のトーンで照れているのが手に取るように解る。
きっといつも俺と話している時のように頬を赤らめて話しているのだろう。
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