White Night
□3 思い出される過去
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外の空気を吸いに行こう、と庭に向かって行った その途中。
私が白哉と出会ったのは、その時だった。
『及川愛歌。』
名前を呼ばれて振り返ると、そこには漆黒の長髪で中性的な男性がいた。
(この人…朽木家当主の朽木白哉)
「…どうも。」
愛想のない挨拶をして、また足を動かそうとした。その時だった。
『兄は…くやしくないのか』
「…!
…何がですか」
言っている意味はわかっていた
が、見栄を張ったのか いきなりそんなこと言われてもよくわからない、と言うように答えた。
『…兄と比べられ、悪く言われる…それでも、兄はくやしいとは思わないのか
と、訊いている』
くやしいに決まってる。
母を追い込んだのはきっと兄や父だ。
そんな奴と比べられるなんて。
唇を噛んだ。
それを見て愛歌の気持ちを察したのか、白哉が口を開く。
『…私と一緒に、修行してみないか』
「!
え…」
驚いた。
朽木家当主が、そんなことを言ってくれるとは思っていなかったから。
(この人と修行…
強くなったら、あいつらを見返すことくらいはできるかもしれない)
そんなことを思った。だから、頷いた。
ふ …と、白哉の口角が上がった気がした。
「…ありがとうございます」
『いくら愛想がなくても、礼は言えるのだな…
今から、私の屋敷に来ると良い』
皮肉を言われた気がするし、今から?!とは思ったが、
少しでも自分を解ってくれる人がいた と嬉しかった。
そのまま、白哉についていくことにした。