✙短編集✙

□アイシテルのサイン
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N side


朝晩は冷え込む秋の初め頃。


まだ起きるには早いとフトンに潜り込んだ。



ーーーこつん。



何かに頭がぶつかる。


もぞもぞと動くそれは
とても暖かくて。


「……たつや?」


バサッとフトンをはぐと、オレンジ色の髪の毛。


「…さむ。」


少し肩を震えさせて俺に近づく。

「さむいから、あっためて。」


そうして、俺の腰に手をまわす。


そんな竜也を起き上がらせると
俺は竜也のおでこに唇を落とした。


「……なんだよ、朝から。」


可愛くない言葉が聞こえても
繰り返し唇を落とす。


「なに?
やめろよ、くすぐってえ。」






「んー?
アイシテルのサイン」


ふふっと笑みをこぼすと
竜也は不思議そうな顔をした。


「アイシテルのサインはブレーキランプだろ。」


そんなクサイことしたら
竜也は口もきいてくれないくせに。


「俺なりのサインだよ。」


耳元で囁いてベッドに倒した。




「まだ時間は早いよ。
ゆっくりおやすみ。」



そうしてフトンをかけると
耳が真っ赤な竜也がいた。










Fin.

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