FE 蒼炎/暁 二次

□帝都にて ロイヤル編
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…少し寒くなってきたので、屋内に戻る事にする。おお、選ばれしネコである小生に、最も相応しい部屋を発見した。
屋内には、各国からの来賓、即ち、王族の為に設えたVIPルームがある。
瀟洒な装飾、洗練された料理が丸テーブルに並び、それを囲んで、各国のロイヤルファミリー達が談笑している。
流石に衛生兵に見つかると撮み出されるので、さっとテーブルクロスの下に入り込み、様子を伺うことにする____。

「…要するに、コレがしたかったのでしょう。」
「ほ?何を言うか、ワラワは各国の友好と、我国の復興を願い…。

「はいはい。皆で騒ぎたかったんですよね、全く。」
「そう怒るでない、タニス。もう、ここはよいから、お主も、会いたい殿方があるのじゃろう、ほら、さっさと行け。」
「わ、私は別に…!」
「あら、いいわよ行って。私の御様は終わったわ。神使様には私が。」
その時、丁度入室してきた、シグルーンが微笑む。
「ですが、シグルーン隊長…」
「良い。行け行け、煩くて敵わん。」
「で、では、会場の護衛にあたります!」
不本意げに頬を膨らまし、踵をかえす。その後姿に、シグルーンが声をかける。
「ああ、傭兵団の皆さんは、中庭の中央辺りにいらっしゃたわよ。」
バタン!荒々しくドアを締め、タニスは出ていった。
「しかし、良いのう、ワラワにも誰かおらぬものか…な、ミカヤ…姉さま。」
「まあ、姉さまだなんて…、そうね、サナキ様には、まだ少し早くあられます、ね。」
優雅に微笑む。
「しかし、姉さまはサザ、エリンシア殿はジョフレ、あまつさえ、わらわと余り変わらなそうなリアーネに至っては、御子まで孕んでおる…」
「そうだ!その件には、異議がある!」
サギ属の王子、リュシオンが立ち上がる。
「くっ…なんでネサラ、貴様なんかに可愛い妹が…。」
「ふっ、クールな魅力ってやつかな…。リアーネは大事をとって留守番してる。お前も再来月にはオジサンだ。オ・ジ・サ・ン!」
「な、お、オジサン…。」
サギは嘘がつけない。ショックは隠しようもなく、フラフラと倒れ込む。
「おっと、大丈夫か?」
軽々と支えたのはフェニキス王ティバーン。白銀に輝く美しい王子を支える逞しい姿は、歌劇の王と姫のようだ。
「おい、ネサラ。貴様、いくらリアーネをモノにしたからって、あんま調子に乗るんじゃねえぞ。」
ギロりと睨む。
「けっけっけ、お前のことは、おじいちゃん、と呼ばせる計画だ。」
「な、なんだとっ、それだけは赦さん!」

「なんだか、ネサラ様も少し変わられましたわね。」
「ああ、憑き物が落ちたって感じだね、リアーネの力かな。ダーティ路線変更だな。」
鳥翼族の騒いでいる傍ら、しみじみ昔語りしているのは、クリミアの女王、エリンシアとがリア王国のライだ。
「でも、良かったわ、こんな日が来るなんて。」
「おう全くだ、エリンシア、飲め、美味いぞこれは。」
「おいよせよ、失礼だぞ、スクリミル、女王様だぞ。」
「あら、頂きますわ、さ、私からも。」
新ガリア王とクリミア女王が盃を交わす。皆は暫し、感慨に浸る。
「良いのう、そうじゃ、ガリア王、そなた、わらわと交際せぬか?わらわの彼氏問題と、人種問題が一気に解決、国家の友好も図れる、妙案ではないか。」
「し、神使様!ご冗談を。」
慌ててたしなめるシグルーン。笑う周囲。しかし、只でさえ赤いのに、酔って更に赤くなっているスクリミルは腕組みで考える。
「うーん、…そうだな、…サイズが、合わんだろ。」
「?」
にこやかに笑う神使に、しんとする周囲。
ライの膝蹴りがスクリミルの顔面にめり込み、周囲は何事もなかったかの様に再び喧騒を取り戻した。

「…私、少しお酒が効いたよう、少し風にあたってきますわね。」
エリンシア女王が、隣りにいたライに告げてそっと席を立つ。今夜はまだまだ長い夜になりそうである。

(おわり)

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