FE 蒼炎/暁 二次

□帝都にて 女子編
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ぺグニオン帝国の帝都シエネは、先の戦で主戦場となり、もっとも被害を受けていたが、神使サナキの大胆な指図の下、急速に復興が進みつつあった。
そこで、丁度一年を経た今日、復興の労いと、ラグズ連合との共存の宣言を表明した、新生ペグニオン帝国の誕生を祝って、ささやかながらも記念行事を開催するに至った。
行事には、各国の要人及び、戦功のあった者たちが招かれたため…要するに、あの戦の仲間達が一同に会することになったのだ。

…申し遅れた。私は、神殿の屋根裏を縄張りとしている、ネコだ。といっても只のネコではない。人間の言語を解する、あの女神の裁きでも石にならなかったという、ヒトカドのネコなのだ。

式典の後、戦功を労い、園庭にて、ささやかな野外パーティーが用意された。要は二次会である。自然、気の合う者同士、あるいは年齢の近い、あるいは共通の話題のあるグループに分かれ、盛り上がっているようだ。ちょっと耳を澄ましてみよう。

噴水の近く、バイキングの料理を手早く確保し、キャーキャーと甲高い声で騒いでいるのは、女の子達だ。若干年増も混ざっているようだが。いてっ。
「あら、ネコちゃん、ごめんなさいねえ。」
「ララベルさん、どうしました?」
「ネコちゃんの尻尾、踏んづけたみたい、ほら、怒んないの、よしよし。」
抱き上げられる。おお、かなり豊満、良い香り、うーん、これは良い。
「それで、ミスト、どうなったのよ、彼とは。」
「それがね…。中々、二人になれないのよねぇ。」
ふうっと溜め息。小柄なセミロングに、柔らかな笑顔は、人間のオスにさぞかし人気がありそうだ。アルコールが入って紅潮した頬が可愛らしい。
「ほら、うちって、皆一緒に暮らしてるじゃない?だからさ…いざ、良い雰囲気になったとしても、絶対誰かが見てるの。そうしたら、ボーレはすぐ逃げちゃうし。」
「気が利かなそうだからな、あそこのベオク達は。」
お、私の同族に近い雌だ。気の強そうなキュッとしまった顎。セクシーな尻尾、タイプだ。この子はさっきから強かに飲んでいる。
「レテは、ライさんと付き合ってるんだよね。」
「う、まあ、武人として、尊敬している。かな?」
「またあ、二人っきりの時とか、どうなのよ、このぉ。」
「…そうだな、甘えてくる…そうなんだ。」
「聞いてくれ、私は、ライ司令官を、武人として、尊敬していた!なのに…、なのにだぞ。」
「膝枕とか、求めてくるんだ、ニャーンとかって、おかしいだろ!?」
「え、ニャーンなの、それってネコ型で、それとも、ヒト型で?」
「ジル、お前、何か失礼な事考えたろ?いいか、ライはいつもはめっちゃカッコいいんだ、分かるか?」
「痛っ、ごめ…、あれ?何で怒ってんの?しかも、どさくさ紛れにのろけてない?」
「まぁまぁ、レテちゃん、落ち着いて。ところで、ヤるときって、ヒト型?それともネコ…キャー!」
おいおいオバサン、何聞いてるんだよ。やっぱ、ネコ型だろ。
「…まあ、良かったよね、ジルんとこも。ごめん、今だから言うけど、正直無理と思ってた。」
赤毛の娘がはっと振り返る。背の高い、少年ぽいきりっとした雌。一杯のワインで真っ赤になっている、悪くない。
「ミストぉ。私、やっぱり駄目かも。」
突如ムードが変わる。泣き上戸か。
「まあ、ダルそうな男だったもんなあ。」
「ううん、違うの。私、きっと好きすぎて駄目なの。」
「はあ?」
「…あのね、ちょっと恥ずかしいんだけど。」
密やかな話ぶりに、輪が縮まる。
「始めの2,3回は良かったの。キスするまではいいのね、けど…それ以上になると、…すぐ、イっちゃうの。」
交尾をさせないということか。それは由々しき問題である。
「…まあ、いんじゃないか、あの男なら…省力化できて。」
「レテひどい、私は真剣に…!このままじゃ、やっぱり私達、駄目に…。」
どうにも感情の起伏が激しい御仁らしい。確かに、このテの雌は手が懸かる。
「あらあ、なんだ、そんなこと、ちょっと、…いらっしゃ〜い?」
「え、カリルさん、何か良い方法が?…え?…そんな…無理です…え、そんなことまで!?」
「ちょっと〜、駄目ですよカリルさん!、その子冗談通じないんですから。」
「あら、常識よぉ?こんなの。」
「いいえ、まだ足りないわ」
今度は我が身を抱いている、女が参加する。
赤毛はとうとうメモまで始めた、あ、尻尾の君まで、…まあ、助言の内容を実行に移したとして、小生としては、彼女らの幸せを願うばかりである。
輪から逃げ出した栗毛の少女がぽそりと呟く。
「二人とも、いいなあ。せめて二人っきりの瞬間が欲しいよ。」
「あら?ネコちゃん?」
小生、些か腹が減った。…次は、料理のすぐ際、男の世界に参じるとしよう。

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