□新たな決意
1ページ/4ページ

三人は人気のない正面玄関ホールにいた。クリスは階段の前の絨毯をゆっくり歩きまわり、レベッカとリョーマは手摺りの傍に不安そうな面持ちで立っている。壮大なロビーは、クリスが最初に見たときと同じように、不気味で冷え冷えとしている。無言の壁は洋館の秘め事をひとつも明らかにしようとしない。S.T.A.R.Sメンバーは消えてしまった。どこへ?また、その理由を解く手がかりも全く見当たらない。


館内のどこか奥深くから、ずしりと腹にこたえるほどの地響きが聞こえた。さながら、巨大なドアが力任せに閉じられたような感じだ。三人は首を傾げて耳をすましたが、二度と同じ現象は起こらなかった。クリスは、轟音がどの方角から聞こえてきたのかさえわからなかった。


素晴らしい、最高だ。ゾンビに狂った科学者たち、そして今度は、夜の轟音ときた。たまらんぜ。


クリスは二人に微笑みかけながら、実際よりビクついているように見えなければいいがと思った。


「さてと、伝言は残されていないようだ。ならば、プランBでいこうか」


「「プランBって?」」


レベッカとリョーマは、二人同時に問い掛ける。クリスは吐息をついた。


「そいつがわかっていれば楽なのにな。しょうがない、剣の印のあった他のドアを調べるか。チームのメンバーが再集合するのを待つ一方で、何かもっと有益な情報を探り出すことができるかもしれない。マップとかその手のものを」


二人は頷いた。三人は再び大食堂を通って、いま来た通路を戻った。クリスが先に立った。これ以上二人を危険にさらしたくない。だからといって、残しておくのも嫌だった。少なくとも、正面玄関ホールには。あそこは安全ではない気がする。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ