□行動開始
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「レベッカ?入れてくれ、クリスだ」


なにやら重いものを壁に沿ってずらす音がして、保管室のドアが軋みながら開いた。レベッカが入り口から後ずさると、クリスとリョーマが急いで入って来ながら日記をベストから取り出した。


「クリスが部屋のひとつでこれを見つけて……」


「ここで何か一種の研究が行われていたようだ。どんなものかはわからないが――」


「ウィルス学よ」


レベッカが口をはさみ、にやりとしながらファイルの束を差し出した。


「あなたがここに何か有益なものがあると言ったのは正しかったわね」


クリスはレベッカからファイルをとり、最初のページにざっと目を通した。彼にわかったのは、それは数字と文字からなる異国の言語だということだった。


「これ一体なに?DH5a-MCR…」


リョーマは背伸びをして、クリスが持っているファイルを盗み見て聞いた。


「あなたたちが見ているのは菌株チャートよ。それは、メチル化シトシン――あるいは独立したアデニン残基を含むゲノムライブラリーを発生させるための遺伝操作の宿主なの」


クリスはレベッカに片眉をあげて見せた。リョーマも訳がわからないと言いたげにレベッカを見つめている。


「きみがなんのことを言っているのかさっぱりだ。で、一体何を発見したんだ?」


レベッカは少し頬を染めて、クリスからファイルを取り戻した。


「ごめんなさい。基本的には、ここにはたくさんの、ええっと、ウィルス感染の『素材』があるってこと」


クリスとリョーマは頷いた。




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