かきもの
□碧の海に捧げる願い
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ささのはにお願いしたいこと。
友だちがたくさんできますように。
おとうさん、おかあさんと元気にくらせますように。
クリスマスに、とりの丸焼きが食べられますように。
たくさん、たくさん、お願いしたかった。
おれは、いいこになります。
だから、おとうさん、おかあさんがしあわせになりますように。
新しいお願いをしてもいいですか。
おれは、誰かをしあわせにしたいです。
しあわせにしたい人が、できました。
おれがいなくなってしまっても、その人をしあわせにできるなら、しあわせにしてほしいです。
俺はたくさんの人を不幸にしました。
快楽のまま、命じられるままに人を殺め、それがどんな意味を持つのか。何故、人を殺めるのか。
何も自分で考えようとはしませんでした。
今ではそれがどれほど愚かで、浅ましい事だったかわかりました。
償う術はありません。
ただ、罪を背負って生きます。
購う事が赦されるなら、何でもします。
幸せを得られるとは思っていません。
自分から望んではいけないとわかっています。
でも、もし、他者から幸せを授かったら。
俺がそれを守ることは許されるでしょうか?
罪に穢れたこの身体が朽ちるその日まで、俺の愚かな魂が消えるその日まで。
俺が護りたいと願った幸せを守る事をお許しください。
俺が愛した幸せのカタチだけは、壊れぬようその力を奮う事をお許しください。
他には何も望みません。
他には何も願いません。
何も、いりません。
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