かきもの

□おつかいから戻ったら
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「!?」

大事なケーキを吹き出しそうになって、ザックはあわてて喉を鳴らしてクリームを飲み込んだ。

柔らかい、甘いクリームが舌の上で溶けながら喉を伝い食道から胃へ落ちていく。

それを味わってから。

「い、いきなり何だよ!可愛いなんて!おかしいじゃんそれ」

ガチャンとフォークで皿を叩いてザックはリアムを牽制する。

リアムはテーブルに肘をついて柔らかな笑みを浮かべたまま、戦闘モードで威嚇するザックを見つめている。

「食べないの?腹いっぱいか?」

皿の上には食べ掛けのショートケーキ。ザックの性格か、イチゴはまだケーキの上。

「食べる!あ、イチゴやらないかんな!」

ザックは何かを感じたのか、ショートケーキを手元に引き寄せた。

「やっぱ可愛い」

「…わけわかんねえ」

ザックは穏やかにじっと自分の様子を見つめているリアムの様子に背筋がぞわっとした。

任務から戻って来た時特有の捕食者の瞳をしている!

「早く食えよ」

「やだよ、味わって食べなきゃシェフに失礼だろ」

「メインを残した男の子の言うセリフじゃねえぞ?」

「うるさいな、俺は少食なんだよ。ってか子供扱いすんな!」

「俺のが年上だし」

リアムはちまちまとケーキを頬張るザックをどうしてからかい続けようかと思案していたが、ふと、手を伸ばした。

銀色の髪を撫でる。
色気も無く短く切られた髪はそれでも指に絡みつく。
もみあげの生え際から毛先へ指を通し、頬を軽く撫でていると、我に返ったザックが嫌々頭を振ってリアムの手を払う。

「もー、止めろよ!」

「だって、ザックが可愛いから仕方なくてな…」

「・・・」

周りの視線が痛々しいものから、生優しいモノへ変わっていくのをザックはリアルタイムで感じていた。

どうしようこの人やる気になってる…
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