犬物語
□覚醒
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奈落、そして四魂の玉が消滅して3年、かごめが犬夜叉達の元に帰ってきてから数日が経過したあるのこと。
犬夜叉は弥勒と共に生活の為、妖怪退治をしていた。もちろん報酬の交渉などは全て弥勒が(阿漕なやり方で)行っていた。
「犬夜叉!行ったぞ!!」
「おう!」
とある名主の屋敷にとりついた妖怪が、弥勒の札によって追い出され、待ちかまえていた犬夜叉が始末する。
「散魂鉄爪!!!」
近頃は雑魚しか現れない為、鉄砕牙を使うことがあまりない。
「ふう、これで一件落着」
「ったく、最近ザコばっかりの相手してる気がすんぞ弥勒」
そう言って犬夜叉は指をコキコキ鳴らしていた。
「まあその分、無駄に力を使うことなく楽して報酬がもらえるんですから。何よりそれだけ平和だと言うことですよ」
「・・・(やっぱこいつには口じゃ勝てねえ)」
確かにここのところ、雑魚妖怪しか現れない為弥勒自身もいささか物足りなさを感じていた。
しかしそれよりも弥勒は別の事が気にかかっていた。
(かごめ様が帰ってきたからというもの、犬夜叉の妖力が奈落を倒した時よりも強くなってる。それに妖気も・・・)
(オレの妖力、前よりも強くなってきてるみてぇだ・・・)
弥勒が考え事をしている時、犬夜叉自身も己の妖力が強くなってることを考えていた。
二人が考え事をしていると、妖怪退治を依頼してきた名主が二人の元に来た。
「法師様、それにお連れの方、ありがとうございます。これで我が家は安泰です」
「いえいえ、これも人助け。我々は仏の御心のままにしただけです」
そういって弥勒はいつもの営業顔で名主に応えていた。
(な〜にが“仏の御心”だ。ど〜せ後から阿漕なやり方で報酬ふんだくるくせに・・・)
心の中で悪態をつく犬夜叉だった。