めいん
□大人
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「もう全部一人で出来るよ!」
と、夏希は言った。
少し得意げに。それでいて、寂しそうに。
僕はそれを見逃さなかったが、触れたら、壊れそうな顔をしていたので、あえて、触れなかった。
「本当に?」
「うん!…もう子供じゃないし」
まただ。
また、寂しそうに、顔を歪める。
何がそんなに寂しいの?
何がそんなに気に入らないの?
わからない。
「さ、もう寝る時間よ」
ソフィアが夏希を寝室へと、誘導し寝かせた。
「…ソフィア」
「?何か」
「もう、なんでも一人で出来るらしい
」
ソフィアに言う。
なんでソフィアに言ったかは、自分でもわからない。
ただ、無意識に。
「大人になったんです、きっと」
ソフィアの返答に笑った。
そうか。
もう大人か。
寂しいのは、僕じゃないのか?
…さっき思ったことは、取り消そう。
寂しくなんてない。
そうだ。
絶対にない
そうだ、僕は、