めいん

□ある夜のこと。
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「もう寝ちゃうの?」

午後10時頃、私がうとうとしていると、蒼汰が頭を撫でながら言った。

「うん、ちょっと疲れてて…」

私の仕事は雑誌の編集だ。
ただでさえ、毎日忙しくて悲鳴をあげているのに、最近、仕事が増えた。






蒼汰との時間だって充分に取れてないのに、ますます会えなくなる、そんなの嫌だ。









「そっ、か」
と、蒼汰はか細い声で言い、私を抱き締めた。




「シャワー、浴びようよ」
「…んー、また汗かくじゃん」


そう言って蒼汰は私にやんわりとキスをして、ベッドへ運ぶ。






そのまま、セックスをした。




「大丈夫?」
「うん、大丈夫」

そんな会話も夜に紛れる。






「ねぇ、もう一回ダメかな?」
「…明日、仕事は?」
「大丈夫、大丈夫」



少し冷たくて、互いを求めあうのに、充分な夜だった。
 

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