ツキウタ。

□答えを聞かせて
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私には願いがあるの、あったかい家庭を好きな人と作る。
自分を待っててくれる人がいる、本当にそれだけでいいのーーー…


「…ん」
ゆらゆらと寝起きの目のぼやけ具合はどうにかならないものかと思いながらゆっくり意識をはっきりさせていく。
時間は23時を少し過ぎたところだ。
隣には恋人である葉月陽がテレビを見ながらお、起きたかとソファに座っていた。
「寝ちゃってたのか、ごめん」
「いいよ、お前も仕事で疲れてんだろ」
バライティ番組の賑やかな音を少し下げつつ陽は名前の頭をぽんぽんと優しく叩いた。


「お前言ってたじゃん、誰かがいないと安心して寝れないからそばにいて〜って」
「いっ、いつの話よ」
「まぁお前のことちゃんとわかってるから大丈夫だ」
名前は小さい時に両親を亡くし、祖父母に引き取られそのまま育てられたのだ。
もちろん楽しかったしちゃんとやりたいことをやって学生生活も充実していて感謝の気持ちでいっぱいだ。
だが何かが足りなかった。
普通にあった日常が突然壊れた日を今でもまだ覚えている。
それを唯一に話したのが陽だった。


「本当に、いてくれるだけでいいんだ」
「いつもそれ言うよな」
「陽が明日突然いなくなったら私も追ってくかもよ?
「ガチできそう、怖いわ」
ははっといつも通りの笑みを浮かべ5分早いけどまぁいいか。と呟いた。


「名前」
名前を呼んで髪を掬って陽はキスをする。
「ちょ、なになに?」
「真剣な話。聞いて」
陽はポケットから小さなラッピングに包まれた箱を取り出して名前の手に乗せる。
「誕生日、おめでとう。お前欲しいものとか言わないからさ、だから俺がお前の願い叶えてやるよ」
「え…」
「お前の隣で一生笑ってたい。いつまでもお前の願いを隣で叶えていたい。結婚しよう」
「…っ、陽」



そのまま陽に飛びつき2人でソファに倒れこむ。
「ちょっ、危ねえだろーが」
泣きじゃくる名前の目元を拭い、いつものように笑った。
「私も…っ、陽のことっ、幸せにする、一緒にいて下さい」
「あぁ、けどなこういう時は一方が幸せにすんじゃねぇの。一緒に幸せになんだろうが」
陽の言葉にまた笑みがこぼれる。
「うんっ、最高の誕生日プレゼントをありがとう」

答えを聞かせて

ってかよく覚えてたね

当たり前だろ?


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