捧げもの

□好きすぎるが故に
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『静雄さーん。こっちです、こっち』

「待ったか?」

『いいえ、今来たばかりです』




あぁ
なんだか良いなぁこういうの
恋人って感じ
恋人だけど




『今日は静雄さんが行きたい所に行きましょう?』

「いや、名無しさんの行きたい所で構わねぇ」

『もう、そうやっていつも私優先なんですね』




純粋に、大切にされていることが分かって嬉しい。
でも、優しい静雄さんも好きだけど、たまには強引な静雄さんを見たいというかなんというか
あぁ、そんなこと言って嫌われたりしないだろうか?


なんて…




「あー、やっぱ俺の行きたい所でいいか?」




杞憂だったのかな?
もちろん返事は二言で答えた。
すると踵を返しもと来た方向へ歩きだす
ある程度歩いて着いた場所は…




『静雄さん家ですか?』




なんでだろう
ちょっと期待…いや、確かに強引な静雄さんを見てみたいとは思ったけど、そんなことはあり得ないよね。まったくもう、私ったら脳内まっピンク♪




「わりぃ、ここしか思い浮かばなかったんだ」

『どうしたんですか?いきなり』

「臨也の野郎がいて…」




邪魔されたくなかった、なんて照れくさそうに言う静雄さんに凄くドキドキする


あぁ、この人が愛おしい


と改めて思う。






――…






『お邪魔します』




まだ臨也さんがウロウロしているかもしれない、ってことで上がらせてもらうことにした


さて、何をしよう




「名無しさん」

『はい?』




ギュッ、




『しし、静雄さんっ!?』




名前を呼ばれたかと思えば、後ろに立っていた静雄さんに抱きつかれた
静雄さんから抱きついてくるなんて滅多にない訳で…




『静雄さん…?』

「しばらく、このままで良いか?」

『はい…』




どうしたんだろう?
いつもの静雄さんと違う…でも嬉しい




「わりぃな、名無しさん」

『そんなっ!私は構いません。むしろ…』

「?」

『むしろ、いつでも抱きつかれたいです』

「…は?」




な、なんてこと…なんてことを私は言ってしまったんだろう
嫌われた…?




「名無しさん」

『ご、ごめんっ!さっきの聞かなかったことに…』

「もう我慢出来ねぇ」

『へ?』




ギュッとまた抱きつかれる
今度は前から




『静雄さん…好きです』

「名無しさん、お前は俺を殺す気か?」

『な、なんでそうなるんですかっ!?』

「可愛すぎんだよ」




そう言ってキスされる
静雄さんの愛が、感じられる
嫌われるだなんて、本当に杞憂だったのかも


しばらくして、




『今日の静雄さんは中々に積極的だったような…』

「うるせぇ」

『どうしてですか?』

「別に…」

『気になるじゃないですか。普段は抱きつくなんてことないのに…』




すると、黙ってしまってもごもごと口を動かしだす




「名無しさんが可愛いからだよ」

『へ?』




予想していなかった答えに、マヌケな声がでる





「いつもが可愛くないって言ってる訳じゃねぇ。ただ、臨也にとられたくねぇって思ったらよ、その…なんだ」

『なんでそこで臨也さんなんですか…?』




なんてことは言わない。嫉妬なのかなぁ
嬉しい
あぁ、愛されてる。って実感できる




『静雄さん』

「なんだ?」

『嬉しいです。私、積極的な静雄さん好きですよ』




チュッ、と頬にキスをおとす




「なっ!名無しさんっ、」

『ふふっ、』

「たく、」




軽くため息を吐き、キスされる
何度も何度も角度をかえ、徐々に深くなっていく
愛を確かめ合うかのように…






END

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