捧げもの

□偶にならいいのです
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いつもと同じように友人と帰路につく。しかし逆方向なため、すぐに別れる。別にどーってことはない、いつもの行動
でも今日ちょっとだけ違かった。目の前に、いつもは見かけない知り合いがいたからだ




『こんにちは、静雄さん』

「ん、あぁ、名無しさんか」

『珍しいですね。ここを通るなんて』

「仕事の都合でな」




仕事…静雄さんが言って気づく
あぁ、トムさんがいる。




『こんにちは、トムさん』

「おぉ、気づくの遅ぇーよ」

『静雄さんがでかすぎるのが悪いんです』

「俺のせいか…?」




そして しばらく3人で話し込む
と、気になったことが1つ




『もしかして、まだ仕事中ですか?』

「いや、さっき終わったばかりだ」




これはチャンスかもしれない




『トムさん、静雄さんをかりますね』

「!?」

「あぁ」




快く承諾してくれて、手を振るトムさんに軽く会釈をし、静雄さんを引っ張って歩きだす。
静雄さん重い、ってかデカイ




『静雄さん、自分で歩いて下さい』

「引っ張ってんのテメェだろ」




そこで手が放される




「で、何の用だ。トムさんには言えないようなことか?」




心配してくれる。
心なしか、少し嬉しそうな…トムさんより自分を選んでくれて嬉しい!!とか思ってたりするのかもしれない。何ソレ可愛い




『別に、特に用はないです。静雄さんと遊びたかったから』




と言うと はぁ!? と驚いた顔をした
なんだか納得がいかないというようにしているので、また手を引き歩きだす




『いいじゃないですか、たまには息抜きってことで』




しばらく歩いだが、とくに何もしていない。
遊ぶといっても静雄さんと一緒に遊ぶような場所なんて…あるじゃないか




『静雄さん、そこの公園まで競争しましょう。勝った方はプリン1週間分奢りで…って静雄さん大人気なっ!』




言い終わる前に既に走り出していた静雄さん
そんなにプリンが好きなんだろうか?




『ぜぇ…はぁ、はぁ…。静雄っ…さんっ、速い…以前にズルい』

「わりぃ、我を失ってた」

『…まぁ、私が言い出したことなんで、1週間奢ります。』

「いや、ガキに奢られるほど困ってねぇから」

『いやいや、ケジメですから』




一先ず話を無理やり終わらせ、1週間は静雄さんに会える口実を作り出した
それから




『今日は公園で思いっきり遊びます』




何言ってんだコイツ
静雄さんの心の声が聞こえてくる
そんな静雄さんを放っておき、1人ブランコに立ってこぐ




『ほら静雄さん、風が気持ち良いですよ』




私が喋りかけると、こちらを向いて微笑んでくれた…のもつかの間




「なっ!おまえ…」

『はい?なんですか』




顔を真っ赤にし始める




「名無しさんっ、お前、スカートがっ」

『スカート…?あぁ、気にしません』

「気にしろ」

『大丈夫ですよ。ほらっ』

「めくるなっ!」




スパッツはいてるから平気なのに
純情なんだな静雄さんって…






──…






『静雄さん』

「なんだ」

『疲れました』

「そうだな」




本当に疲れた
久しぶりに遊んだっつーか、はしゃいだっつーか…
静雄さんとの遊びは命がけでした


いや、マジで




『静雄さん送ってって下さい』

「めんどくせぇ」

『こんなか弱い女の子を夜道で1人にさせるんですか?』

「か弱い?」




お前のどこが…
静雄さんの心の声が(ry




『おぶってって下さいよ。疲れました』

「俺も疲れているんだが」

『静雄さんなら大丈夫でしょ』




と、飛び乗る


うわー、背中広いな
身長高いもんな。うん、羨ましい




「名無しさんっ、」




またもや、顔を真っ赤にさせる
密着しただけで動揺するとか、どんだけ純情なの…




「名無しさん…胸が




胸が…?
あたっているとでも言いたいのかコノヤロー
無い乳で悪かったな!




『当ててんのよ』




1度言ってみたかったんだよね
このセリフ
つか、慌てすぎ(笑)




『早く帰りましょー?』

「はぁ…たくっ」




渋々といった感じで私をおぶったまま送ってくれた
やっぱ静雄さん優しいな






END

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