中編

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自由に外出していいという許可が出ました
さすが臨也さん、男前
と言うのも何週間か前の話ですが…
まぁ、そのお陰で静雄さんとも仲良くなりましたよ


良きことかな
嬉しきことかな


臨也さんは許してくれなくて、そろそろ外出禁止が出そうですが




『ということで、そろそろ静雄さんとも会えなくなりそうです』

「そうか…」

『静雄さん、反応が悲しいです(泣)』

「いや、」

『はい?』

「お前、臨也の話ばっかするからよぉ」

『妬きもちですか?妬いちゃいました?』

「そうじゃなくてなぁ」




モゴモゴと口を濁すようにあーとかうーとか言葉になってない言葉を発する
そんな静雄さんも可愛いですけど
すると、意を決したように口を紡ぐ




「好き…なのか…?」




何言ってるの静ちゃん!!好きに決まってるじゃないかっ!!
と思わず叫びそうだったが言葉を飲み込んだ
いや、飲み込んで正解だったのかもしれない




「臨也のことが」




ピシャッ


という音が自分から聞こえた




『臨也さんのこと?』

「あぁ、違うのか?」




違いますよっ!!
絶対に違う!
断固として違う!


と言えれば


自分でも薄々気付いていた
ただ気付きたくなかった
まさか、
静雄さんにバレるほど顔…いや、言動に出ていたなんて




『違わないです。たぶん』

「ハァ、お前らウゼェんだよ(ボソッ

『なんですか?』

「いや、何でもねぇ。ほら、てめぇの保護者が迎えに来てるぜ」

『え?』

「お岩さんちゃん、ほら行くよ」

『あ、臨也さん…あ、あ、また会いましょう静雄さん!!』




背を向けて手を振る静雄さんはまじでイケメンでした






――…






『もう少し静雄さんと喋らせてくれても良いじゃないですか』

「やだよ、そんな敵に塩を送るみたいな馬鹿なマネするわけないでしょ」

『敵?』

「静ちゃんのこと」

『塩?』

「お岩さんのこと」

『なんでですか?』

「お岩さんのこと、誰にも渡したくないから」

『それって…』




期待しちゃってもいいんでしょーか?


それは夕焼けが頬を赤く染める11月のことでした






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