中編

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夏もとうとう本番で、暑さが私を地獄の道に連れ込もうとしている
というわけで




『海行きましょう。海!』

「却下」

『えぇー!何でですかー』




そりぁ、居候の分際で海に連れてってなんて図々しいにも程がある!と思ったよ思いましたよ!


でも…


さすがにキツいわけですよ
4ヶ月ほど外出一切なしは…




「だいたい行ってどうするの?水着だってないのに」

『水着がなくても遊べますよっ!』

「行く理由がないから却下」




むぅ〜、なかなか手強い
これじゃあまた失敗で終わり、外に出れずじまい。そんなことは出来るだけ避けたい


だから




『海に行けばキレーなお姉さま方にちやほやされますよっ!』




手段は選ばないっ!
力では確実に負ける。ならばっ、少しでも勝率のある言葉での勝負だっ!
だが、その言葉を発した瞬間。周りのまとっている雰囲気が変わった(気がする)




「お岩さんちゃんは、俺がそんな男に見えるの?」

『へ…?』

「俺が女にうつつを抜かすだらしない男に見えるの?」

『い、いや〜、み、見えません…けどぉ』

「けど…何?」

『ちょ、ちょっと待って下さいっ!なんで怒っているんですか!?』

「怒ってなんか…いないよ(ニコッ」




怒ってる怒ってる!!
笑顔が怖すぎますよ臨也さんっ!
これは謝ったほうが良いの?
外に行くことを諦めたほうが良いの?


答えは分かっている。
答えは…どっちもだっ!!!
くそっ、結局臨也さんに勝てないのかっ!
もう挫けそう




『あ、あの、すみませんでした。もう海に行きたいなんて思わないんで…』




その怖い笑顔を止めて下さいっ!!
と、心の中で叫んだ私。


それは(いろんな意味で)汗が出る8月のことでした。






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