中編
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暑くなってきた今日この頃
私、お岩さんは未だ外に出してくれないことに怒り覚える…なんて事はなく、むしろ冷房の効いた涼しい部屋から出ることが困難なほど
快適ッス…なのに、
『イヤだ』
「何が?」
『…なんでもないです』
本当になんでもない。
ただ、楽しくないだけ…なんだか鬱っぽいなぁ
今までウザがっていた親が恋しく思う
戻りたい
本当なら今ごろ、高校生活を満喫しているはずの予定だったのに…。
友達もたくさん出来て、中学時代の黒歴史を抹消して彼氏をつくる予定だったのにいいいいいぃぃぃぃ!!
はっ!
もしやこれが噂の…
『ホームシックというやつかあぁああぁぁぁ!』
「え?」
『あ…や、なんでもないです』
「ホームシック?」
『いやいやイヤ、なんでもないですよ』
「へぇ〜、ホームシックねぇ(ニヤニヤ」
うわぁーウザい
あの顔ウザい
殺っちゃいたい
「戻りたい?」
ドキッ、
臨也さんの表情が切なそうに見えたから、少しときめ…、いやいやいや、核心をつかれたからだよ。ドキッとしたのは
『そうですね。正直、もど、りたい…です』
違和感
なんだろう、さっきまで戻りたいって思っていたのに
言った瞬間に戻りたくないって思うなんて
「そっか、戻りたいのか」
ズキッ
『…』
今度は痛みだす
臨也さんにとって私は邪魔なんだろうか?とか思ってしまった
「俺はお岩さんちゃんに居て欲しいのになぁ」
『…』
は?
え、っと、こういうこと?
つまり、私はここに居てもいい訳だ、と。
きっとあれだよね、異世界の人間は珍しいから情報屋としての血が騒ぐってやつ
だから別に、臨也さんは私みたいにやましい気持ちがあって言った訳じゃぁ
私みたいにってなんだ!?やましい気持ちって何!?
別に臨也さんのことなんてどうも思ってないし!!
あぁ、もうっ!
今はともかく、
この鼓動静まれ!
と、心の中で叫んだ私。
それは少し暑い7月のことでした。
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