金髪で血色の瞳のあなた
□囚われた三人の花嫁
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side彩乃)
新選組隊士)「鬼だ!鬼がきたぞ!」
その知らせを聞いた途端、さっきまで和やかだった雰囲気が一変し、凍りついた。
(鬼?鬼とはなんだ?)
彩)「鈴、鬼って何?」
鈴)「ついに、この日が来たのね。彩乃、聞いて?あなた人間じゃないの、鬼なの。鬼っていうのはね、かすり傷程度の傷なら瞬時に治し、人よりも力が何倍も強いのよ。」
彩)「でも、あたし、自分が鬼だってこと知らなかった。鈴は鬼じゃないの?」
鈴)「あたしも麗奈も鬼だよ。あたしたちは翡翠の分家の鬼なの。」
それから、あたしは鈴から全てを聞いた。自分が翡翠家の頭領であること、自分の里が人間によって滅ぼされたこと、自分が風間千景という鬼に狙われていること。どんどん私の頭の中で忘れていた記憶が蘇る。燃え盛る炎の中、みんな、私を守って死んでいく、お父さんの名前を呼んでもお父さんはこない。自分の足元ではさっきまで微笑んでいた、里に住んでいるものたちが苦しみながら死んでいく。まさに地獄絵図だった。
鈴)「ごめんね。今まで黙ってて、彩乃には人間として普通に生きてほしかったの。」
彩)「ううん、あたしの事を考えて今まで黙ってくれてたんだよね?ありがとう。」
そういってあたしが鈴の手を握ると鈴も嬉しそうにあたしのてを握り返した。
[ダダダダダッッッ バタン]
山)「彩乃さん、鈴さん、逃げてください。鬼がもうそこまで迫っています。」
彩)「うん!でも麗奈がいない!」
山)「麗奈さんは捕まっています。」
鈴)「そんな!?助けに行かなきゃ!」
彩)「鈴!」
[ダダダダッッッ鈴が部屋を出て行く]
彩)「待って鈴!あたしも行く!」
山)「待ちなさい彩乃さん!!」
だが、あたしは山南さんの制止を聞かず、鈴を追った。