Asteroid Of Continental
□MOVE ・2 ー 地下ー
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「、、、、、、、てぇ、、、」
「ん?」
顔を覗き込もうとするボウイを押しやり、後ろを向かせると、キッドは自分もくるりと反対を向いた。そして腹の底から怒鳴った。
「ビカビカで、遊びてぇーっっ!!」
「へっ?」
「酒がーって呑んで、ライブでわーって騒いで!踊ったり、、ゲーセンでも射的でもダーツでもなんでもいいし!、、あと買い食い!買い食いしてえ!ワッフル!ソフトクリーム!肉まん!あっちくしょ、腹へってきた。ブライスター取ってこいよっ。オランジュエクランのケーキとか俺、食わずじまいじゃねーか!」
「オランジュ、、、!ちょ、、ご、ごめ、、」
目を丸くしていたボウイがとうとう吹き出した。埃だらけの床に座り込んで笑う耳元へ、さらにキッドが追い討ちをかける。次から次へ懐かしい店の名を、噂になったアミューズメントを、流行っていたスイーツを。そして最後にやっぱり「笑うな」と蹴りをひとつ入れてから背中どうし寄りかかるように座り込んだ。
「それってさ、、、」
後ろからコトンと頭をくっつけて、響いてくるボウイの声は、すっかり笑いをおさめて何気ない風を装う。
「いま言ったの全部まとめて、、帰りたいって事に、、なる?」
違うと即答しようとしてから、キッドは一旦口を閉じた。慎重に、自分の中へ問いかける。北極から自由に出歩けない鬱屈。頑張っているメイの手前、言うに言えない食事への不服。ドーム天井への愛着。まだあるけれど、それも含めて。
「違う」
それが答え。いま床が冷たくて背中が暖かいのと同じくらい、間違いはない。