Asteroid Of Continental
□MOVE ・2 ー 地下ー
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メインゲートがあるのが1F と言うことになる。そこはほぼ倉庫と整備用ハンガーで占められており、その上が最上部のアラートハンガーと、カタパルト。天井には巨大な円形の区切りが見えた。
「おー、、おおっ?!こーゆーことかぁ!うっひょ〜」
地下基地へ到着してからボウイはもう騒がしいことこの上なかった。この階でもまたひと声あげると壁際へ走り、必要なパネルをあっさりと探し当てていた。持ち場に関わる文字だけはとっくに覚えている。
天井の円は離発着の開口部である。中心から開いてゆくと、その真下に居たキッドがストップをかけた。いつのまにか外は雨になったらしい。
「これで一通り回ったか。ブライスター取りに行くなら行ってこいよ」
「雨ってわかった所で追い出す?雨具も無しでホバーバイクで山を下れ?」
「初着陸、早くやりたいだろ?」
ボウイはイエスとしか答えられない。引っ越しに先駆けて二人でここに到着したばかりだ。動力を上げ、ライフラインに支障がない事はわかったが、この基地のある小高い山を二人はホバーバイクで上ってきた。山裾の木々の間に下ろしたブライスターを持ち込まねば、今夜の毛布一枚とてないし、外との連絡もままならない。初着陸だって譲れない。
わかっていてキッドは意地悪く笑っている。キッドのそんな表情は久しぶりで、ボウイこそにやにやしだした。
「で、どうよ?ここ。俺はけっこう気に入ったけど」
「思ったよか閉塞感がない。悪くねえよ」
「あんま乗り気じゃねえのかと思ったぜ?ドーム眺めるの好きだったもんな」
「そりゃ、、でも北極に飽きてたのもホントだしなー、、、ああ、でも、やっぱりドームはなぁ、、」
「そんなに名残惜しいんだ?」
「まあなー」
ここ最近、多いようなのらりくらりとした雰囲気に戻るキッドを、ひょっと抱き寄せて耳元に提案。
「なぁ、、いまなら、誰も居ないから、、」
「こんなだだっ広い所で何、、」
「言っちゃえよ、本音。でかい声でさ。この基地で気に入らないトコあるなら今のうちに怒鳴っとけば?ついでにさ、なんかずっと、すっきりしねえ風じゃん。他にあるならそれもさ。聞いてもなんも出来ねえかも、って、、先に言っとくと、ちっと気楽?ほら、アレだよ、王様の耳は〜!ってヤツ?」
「それバッドエンドじゃねえの?」
「そーだっけ?」
しばらく考え込んでもバッドエンドかどうかは思い出せなかったが、キッドは小声でボウイの肩に向かって何事か言った。