自覚なし

□十一話
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週末、暇をもて余していた七海は町へ来ていた。今日の服は男物の為か、女の人はすれ違う度に七海の方を振り返る

「はぁ…町に来たんはいいんやけど…… こうも見られちゃ落ち着いて散歩もできんやん…」

ぶらぶら歩いていると 前方に土井先生を見つけた。七海はスタスタと歩み寄ると ポンっと肩を叩いた

「半助さ…うお!?」

突然手を引かれて路地に連れ込まれると 壁に押し付けられた

「っ…!」
「七海!?すまん!」
「いえ…何しよるんですか?こげな所で」
「家に帰る途中だ。七海は?」
「散歩です」

2人は路地から出ると 一緒に歩きだした。七海は土井先生の家に着いていく気満々だ

「半助さんの家ってどんなですか?」
「町長屋だよ。多分今ごろはきり丸が内職でもしてるだろうがな」
「きり丸が?」

何故きり丸が土井先生の家に居るのかが分からない七海は 聞いてみようかと思ったが、あえてそれをやめた

「内職やったら 僕も手伝っちゃーか?」
「ちゃ…?へ?」
「え?あ、え〜っと……何て言うんや?」

言った言葉が伝わらず、標準語を探す七海(管理人も分かりません…)
考えているうちに土井先生の家に到着。中にはきり丸が造花を作っていた

「帰ったぞ きり丸」
「土井先生!と腹黒先生!」
「黒原だ…久々やな その間違い」

草履を脱いで中に入ると、七海はきり丸の隣に腰を下ろした

「上手いな…」
「慣れっすよ!」
「ずっとやっとるん?」
「学費 自分で払ってますから」

七海はそれを聞いて 先程の疑問が何となく解決したような気がした。七海は近くに置いてあった和紙を手に取ると、手際よく折っていく

「こんなもんか?」
「上手い!黒原先生って器用なんっすね!」
「ありがと」

次々に花を仕上げていく七海。土井先生はその仕草をじっと見ながら ある事を考えていた
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