自覚なし
□十話
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「うわぁ…最悪や…」
委員会活動の時間、土砂降り外を眺めながらそう呟く七海。昨夜から降り続けている雨のせいで実技の授業は全て中止だった。七海は何もすることがなくてずっと暇をもて余しているのだ
「酷くなるばっかやな……雷とか鳴らんどきゃいいんやけど……」
──ゴロゴロゴロ
「っ!」
遠くから聞こえてくる響くような音に ビクッと肩を震わせる。その時 カッと空が光り、またもや肩を震わせる。そうなりながらも心の中で数を数える
「(1…2…)」
──ピシャァァァ
「ヒッ!」
3つ数える前に落ちた雷。七海は小さな悲鳴をあげて押し入れに隠れる。中に入れば耳を塞いで踞っていた
「(忘れろ…忘れろ…あげな事は滅多に起こらんっちゃけん…えずがらんでいいんや…)」
そんな時 部屋の外から複数の気配を感じた。七海は押し入れから出て戸を開けると、そこには五年生が居た
「…なんや、あんたらか」
「先生、顔色が優れない様ですが…どこか具合でも…?」
先程の雷で青ざめたままの七海の顔を見て、雷蔵は心配そうに聞いてきた
「いや、気にせんで
そんで?あんたらは僕に何の用なん?」
「あ、そうでした。実は先生が筑前にいた頃の話を聞きたくて」
「……鉢屋、僕に変装ばしてから言わんでくれんかいな」
──ピシャアァァァ!!
「近いな…」
「今日の雨はやけに酷いよね〜…」
「あれ、黒原先生…どうしたんですか?」
固まって動かなくなってしまった七海に問い掛けるも、返ってくる言葉はない
──ゴロゴロ...ドーン!!
「Σ!!!!」
「ちょ、先生!?」
かなり近くに落ちたであろう雷の音に驚いた七海は 目の前にいた勘右衛門に抱きついた