自覚なし
□九話
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「久しぶりだね」
「……そうですね」
自室でのんびりくつろいどったら いつかの包帯男が天井から現れた
「何してるんだい?」
「……何でもいいやん」
「私を警戒しないのかい?」
「……しとらん訳やないですよ」
後ろからずっと話し掛けてくる包帯男。正直鬱陶しい…
「私が何しに来たのか知りたいかい?」
「……別に」
「さっきからのその間は何?」
「……さあ?」
背ぇ向けたまま話よるけん あいつの表情は知らん。あ、包帯だらけやけんどっちみち分からんか
「で?何しに来たんや?ここは医務室やないで」
「ちょっと 君のお兄さんの事でね」
「兄貴の…?」
そこで初めて振り返る。そしたら僕のすぐ後ろにそいつが近寄っとった。つまり振り返った僕とそいつの顔が近い
「近い…」
「反応はそれだけかい?」
「それより 兄貴がなんや」
「そんなに睨まないでよ…君のお兄さん政弘がね 私の部下になったんだよ」
「…は!?」
政弘がタソガレドキに!?ちょ、待てよ…最初は忠之が政弘と一緒の城に就職するとか言いよって、けどなんか別んとこで働いとうみたいやし……もうなんなん!??
「お兄さんが居るなら、タソガレドキに来てくれるかい?」
「いや、そんなん関係ないし」
「それは残念」
「なあ、あんたは何がしたいんや?」
さっきから訳わからん事ばっか聞いてからに
てかいい加減離れんかいな…顔が近い…
「この顔の近さで分かんないかな?」
「分からんけん聞きよるっちゃろ。つかこれ以上近付くな」
こいつが近付いてくるたびに後ろ下がりよったら もう壁に背中あたっとうけんこれ以上逃げれんやん
「やっぱり綺麗な顔をしているね」
「兄貴譲り」
「男と女は違うよ」
訳わからん…てかこいつ 退く気ねぇーな…。なんか隠し武器持っとったっけ…?懐を探ってみれば 短刀があった
とりあえず短刀を素早く構えて 目の前におる奴の喉元に刃を向ける
「ふぅ〜ん…抵抗するんだ」
「せんでどうすんよ。今すぐ離れるんやったら傷はつけん」
なんか こいつは危険な気がする…
てか 外が騒がしい…。とか思いよったら障子が勢いよく開かれた
「曲者!」
「って先生!?」
あ、今絶対 変な誤解生まれたな…
「立花 潮江…こいつどうにかしてくれん?」
「どうにかされなくても私はもう帰るよ。じゃあね 七海ちゃん♪」
「ちゃん!?」
まあ 曲者は帰ったけん、とりあえず良しとしよう