自覚なし

□十一話
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暫くすると、満面の笑みをしたきり丸が帰ってきた

「土井先生、そろそろ夕食の買い物に行きましょう」
「そうだな」
「じゃ、僕はそろそろ…」

そう言って立ち上がろうとする七海をきり丸が手を掴んでそれを止めた

「あのっ、黒原先生の家に行ってもいいっすか?」
「は?」
「きり丸……まさか……」
「そのまさかです!黒原先生の家で夕飯をごちそうになろうと思います!」

元気に言ってのけたきり丸に土井は肩を落とした。七海も困ったように頭を掻く

「あー…う〜ん……できるならそうしたいんやけど……」
「散らかってるとか?」
「いや、そうやのぅてな」

言いづらそうに視線を反らす七海
そんな様子を首を傾げて見てい土井ときり丸 七海は意を決して二人に言い放つ

「僕、兄貴が何処に家借りとんか知らんっちゃん!」
「「…………だぁぁぁ!」」

見事にズッコケた二人に謝り、七海は立ち上がると夕飯のおかずを買いに出掛けていく

───
──


「家どうしようかいな…、兄貴と一緒に住む訳にはいかんし……」

おかずの買い出しを終え、そんな事を考えながら土井の家に戻った。兄弟といえど、それぞれ敵対している為 一緒に暮らす訳にはいかないのである

「土井先生、きり丸。おかず買ってきたよ」

「態々すまんな」

「黒原先生〜ぇ、ありがとうござい まぁすっ!」

「僕が世話んなるっちゃけん、これくらいはな」

目を小銭にして、媚を売るようか声で七海に胡麻すりをするきり丸は気にせず、買ってきた魚を囲炉裏で焼く

「ところで、黒原先生は何処で暮らしているんですか?」

「今は学園で寝泊まりしよるよ、いい場所がありゃそこに住む予定やけどね」
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