貴方の駒でいい
□その執事、最強
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スノウside
ここは遊戯室、外からは鼠を追い回す使用人のけたたましい声がする。
眼鏡をかけた男「随分と騒がしいな、どうやらここにも鼠がいるようだ」
現在はビリヤードの試合中、参加者は7名。
先程の声に反応した別の男__ディーデリヒがサンドウィッチを食べながら呟いた
デ「食料を食い漁り、疫病ばかりふりまく害獣をいつまでのさばらせておく気だ?」
中国風の男「のさばらせる?彼は泳がせているのでは?」
その発言で、場に視線が交差する。
一人の女性__マダム・レッドはシエルに問いかけた。
マ「そう、彼はいつだって一撃必殺(ナインボール)狙い。
次もパスなの?ファントムハイヴ伯爵」
シ「パスだ。打っても仕方ないし球は打たない主義でね」
もちろん、と言った表情で呼応する。
その様子に何を思ったか男が怒ったように反応した。
眼鏡をかけた男「御託はいい、鼠の駆除はいつになる?」
シ「すぐにでも。すでに材料はクラウスに揃えてもらった。
巣を見つけて鼠を根絶やしにするには少々骨が折れる。それなりの報酬は覚悟して頂こうか。」
眼鏡をかけた男「・・・ハゲタカめ・・・っ」
シ「貴殿に我が紋を侮辱する権利が?
鼠1匹しとめられない猟犬ばかりに大枚をはたいている貴殿に」
歯噛みする眼鏡をかけた男__ランドル公。
会話を無視して続く試合、中国風の男__劉のターンが終わった。
劉「残念、ファールだ。台球は難しいな。
次は伯爵か、どうする?」
自らのターンにようやく腰を上げた彼は
シ「そろそろ下らないこのゲームも終わりにするか。
それで?報酬はいつ用意できる?」
ラ「・・・こ・・・今晩には」
そのままキューを構える彼、
シ「いいだろう
後で迎えの馬車を送る。ハイティーを用意してお待ちしよう、サー 」
またも歯噛みするランドル公。
劉「残り3球から9番を狙うのかい?」
シ「当然だ。
なあスノウ?」
『もちろん。できないなんてことないわ』
・・・やっと喋れた。ずーっと壁際で黙ってたんだよ。
そんな私の内心を知らずにディーデリヒが繋いた。
デ「ゲームの天才のお手並み拝見といこうじゃないか」
ラ「"強欲"は身を滅ぼすぞ、シエル!」
は、とひとつ笑い彼は球を打った。
打たれた球は別の球にあたり、当たった球はまた別の球へ・・・
そして全ての球は順にホールへ入っていった。
シ「強欲ねぇ・・・」