東京レイヴンズ
□第0幕
1ページ/1ページ
これは物語が始まる前のお話―。
呪術の神髄が「嘘」だって?
いかにもお前が考えそうなことだね。
でも、実際そうかもね。
ある女は帝国式陰陽術を大成した陰陽師に冗談めかしく言った。
それは満月の夜だった。
女の目には一切の迷いというものがなかった。
そしてふっと肩の力を抜き護法を連れた男へと笑いかける。
「少し先に行って待ってるからな。」
男はその言葉に少し微笑んでから、あぁと返事をする。そして男は目を閉じ微笑を浮かべ続けている女へとある術をかけるため何かを唱えはじめる。
後日、男も式神と少しの間の別れを告げ己の身へも同じ術をかける。
これから始まる物語へと向かって―