面倒な事になりそうだ――とは思ったけど、本当に面倒な事になってしまった。
あれから1時間、私と真砂子はこの場を一歩も動いてない。
原因は、質問してくるナルに対して私が全くといっていいほど答えないから。
「いい加減、まともに答えてもらえないか」
「そっちこそ、いい加減諦めてベースに戻ったら?」
いつまでこんな言い合いしなきゃなんないの!
本当、いい加減諦めてくれないかな…。
「兎に角、私はあなたの質問に答える気は全く無いの!
それに、なんでよく知りもしない人間に自分の事を喋らなきゃいけないのさ」
大体、なんでリンさんはナルを止めてくれないのかな?
ナルのお目付け役じゃなかったのか!
半分八つ当たりでリンさんを睨む形で目をやると、ばっちり目があってしまった。
「っ!」
しかも、無言のまま近づいてきたリンさんは、半ばパニックに陥っている私を余所に、私の前まで来ると背を屈め顔を近づけてきた。