一緒に


□2話
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陰陽師の仕事(祓い屋)を始めて2年―ー私は、いつの間にか“龍姫”なんて呼ばれる様になり、その筋ではちょっとした有名人になってた。
渾名の由来は多分、私の式が龍だからだと思う。
そんな私もこの春、晴れて高校生になった。
前世での記憶のお陰で、勉強には不自由しなかった。
まぁ、二度目なんだから当たり前だよね。
でもその分、生活面での苦労があった私は、貧乏人に優しい高校を選んだ。
原作で主人公が通っていた高校だ。
幼いときに父が、中学の時に母が―ーそしてこの高校に入学。
此処までは原作と同じ。だけど、此処からは原作通りにはならないはず!
だって…、ナルの兄ジーンは生きてるから。
なぜ生きているかって?それは私が助けたからだよ。
彼が生きていれば、ナルは日本には来ない=原作通りには進まない。
そうすれば、面倒事に巻き込まれずにすむ筈!―ーと、まぁ、そんな理由でジーンを助けたのだけど…。



本当に変わったかな?変わってるよね?



変わってなかったらどうしよ!
現にさっき、ミチル達に“今日の放課後、視聴覚室で怪談しよう”って誘われた。
しかも、私は迂闊にも了承してしまったのだ!



あぁ…、私の馬鹿!断っておけばよかった…。
これでもし、ナルが来たら―ー…。
か、考えない事にしよう!うん、それが一番!



〉放課後―ー



頭の中であれこれ考えたけど、結局いい言い訳が思い付かなかった私は、視聴覚室でミチル達と怪談をする事になった。



「―ー身体中がね、針でつつかれたみたいに小さな穴だらけだったんだって」



話す怪談が無かった私は、原作と同じ怪談を話した。



「最後、ミチルだよ」



話し終わるたびに明かりを消していく。

最後がミチル。

そして、今、ミチルが話しているのも原作と同じく旧校舎の話し。
原作通りなら、この後、最後の数を数えた時にナルがいる。





「…消すよ」



ミチルの声とともに最後の明かりが消された。



「いち…」



「にぃ…」



「さん」



「し…」



良かった…。聞こえな―ー



「「ご」」



聞こえた声に、私は落胆するしかなかった。



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