進撃の巨人
□In my heart 〜心の中で〜
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空気の流れに沿って、ふわりと香るあの匂い。
アルカリの石鹸のような匂い。
たったの言の葉とその、どんな香水にもかなわない香りは私の胸を躍らせる。
それはまるで、ワルツのようで、足取りが軽くて今にも空を飛べそうだ。
これって、なんていうの?
知ってる気がする。
知ってた気がする。
家族愛とも、友愛とも違って、それであって暖かなこの気持ち。
これって、確か、
恋っていうのだった?
心臓から温もりが流れる。
それは激流となって、体を流れ続ける。
苦しくあって、うれしくあって。
彼が離れていく。
1、2、3、4…
気づけばもう、ドアの向こう。
呼びとめたかった。
でも、呼びとめたところでなんと伝える?
大好きとでも言ってみようか。
愛してるとでも言ってみようか。
いやでも、この気持ちはまだ何か…他の何かかもしれないのだ。
その、他の何かであることを期待して、私は瞼を少し閉じた。
ああ、心臓が耳の後ろにあるようにうるさい。
この気持ちに整理はつかないけど、一つ言える。
これは、
「…恋なのかもしれない」