進撃の巨人
□In my heart 〜心の中で〜
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夕食が終わり、楽しいおしゃべりタイムとなった。皿をかたずけようと席を立つと、リヴァイがついてきて、表情をピクリとも変えずに手伝うと言ってきた。
私は内心、この人は綺麗好きだから結局私のやることは無いと思ったが、普段ならあり得ない彼の申し出を快く受けた。
私の予想通り、皿洗いを始めて約5分でその役目を取られた。することの無くなかった私はパンの仕込みを始めた。
「お前は東洋人なのか」
「え?」
私が生地を作り終えれば皿洗いも終わったのか、リヴァイは椅子に座れと人差し指でトントンとたたいていた。
その椅子は2人掛けだったが案外狭く、2人の距離はだいぶ近かった。そして、先ほどの言葉を繰り返しこう付け加えた。
「どことなく東洋人の雰囲気がしたものだから」
「そうですか…あの、私、あまり覚えていなくて」
そこでリヴァイは、はっとしたのか自分の失態に頬を染める。すまないと言われたが、気にしていないので、と返す。そうすればこう質問された。
「何故だ」
「なぜ…ですか。それは、こうして貴方に出会えたから…でしょうか」
何も嘘のない私の心からの言葉だ。たとえ、向こうは記憶のない少女の戯言と捉えたとしても何偽りもない真実。
ちらりと顔を覗いてみれば、少し俯くリヴァイ。
よく見ると耳まで真っ赤である。
そこで私は失態に気づいた。
会ったばかりの女にそんなこと言われるなんて、恥ずかしすぎる。
というかむしろ、私のほうが恥ずかしい!
「…っあ、あの、ごめ「いや、構わん。ただ男にそんなことほいほい言ってやるな」…へ?」
そう言ってリヴァイは席を立って、私に、さらに近づく。
そっと音も立てずに私の耳元に唇を近づけ、こう、言葉を紡いだ。
「…そんなこと言われれば、勘違いする奴もいる」
と。