-神に愛されし者-

□第7夜【未来予知とトランプ:中編】
2ページ/5ページ


【神田side.】



チッ…あのガキ、調子にのりやがって

モヤシといいバカウサギといい、ふざけてやがる

戻ったら全員しめるか


…アイツは 自分が人を惹きつけることを、まだ分かっていない


…いや、むしろ分からなくていい


俺がアイツを…───



『…神田…!』


「!?」



アイツの声が聞こえた気がした

振り返ったら、噂をすれば…ってやつだろう


そこにはちゃんと、シナデが居たんだ



「シナデ…」


『…ふぅ…』



…正直何を言ったらいいのか、分からなかった

コイツはいつも、俺の予想を外れる

追いかけてくるなんて思わなかった


ただでさえ、感情も記憶も無くなってるのに

俺の事だって、目覚めた以降の記憶しかない筈なんだ

今のお前にとっちゃ、他の奴と変わらない印象の筈


なのに…


“俺だけが特別”…と、思ってもいいのか…?



「…なんで、ここに来た」


『…?…神田…どこ行くのかな…って…』


「…!…そう…か…」



どこに行くか気になった…か

たったそれだけで追いかけてくるとか、お前は…


俺の期待を膨らませて、どうすんだ



『…!』



俺はシナデの手を引いて、抱きしめていた

それは、目の前のコイツが“愛しい”と思ったから

周りの目なんて、どうでもいい


だがコイツは、どう思ってんだろうな



『…神田…どう…したの…?』


「…少しこのままでいろ」


『…うん…』



やっぱ意味解ってねェ……その方が助かる


…いや、このままいっそ



「……」


『…ん… (くすぐったい…)』



コイツの前髪、サラサラだ……じゃねェや


……あのガキに、先越されるくらいなら

ここで…───



「…シナデ」


『…?』


「…俺は……お前を……───

‘カチャ…’


『…!…神田っ…』


「!?───」



*
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ