-孤独の戦士-

□code.2【昔と今での繋がり:前編】
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【夢主side.】



『───……夢…か……』



見慣れた天井、見慣れた明かり

ここは、私の住む部屋だ。


たった一室だが、トイレも風呂もキッチンも付いている

もうすぐ3年になるが、不自由はそんなに感じていない



『…あれ…目覚ましは…?』



ふと アラーム付きの時計を見れば、AM8時ジャスト

…なるほど、目覚ましには気付けなかったわけか

昨日…いや、一昨日の夜ふかしが堪えたようだ



『ハァ……私もまだまだだな…』



少しだるさの残る身体を起こし、枕元のスマホを取る

スピードダイヤルに登録している ある番号へ、電話を繋げた



[プルルルル……プルルルル…ブッ…]


〈もしもし、雨取です。

 アユちゃん? どうかしたの?〉



かけた相手は、親友のちか

相変わらず丁寧でいい子だ…



『ちか、通学準備中にすまない。

 悪いが、今日は学校を休ませてもらう。

 担任に伝えてもらえるか?』


〈お休みするの…?…分かった、先生に伝えておくね〉


『あぁ…すまんな、ちか』


〈気にしないで。お大事にね、アユちゃん〉


『…ありがとう』



…色んな意味ですまない、ちか

どう考えても仮病なのに、何も聞かないでくれて ありがとう



『…さて、風呂に入るか』



昨晩の記憶は曖昧だが、私はまだ制服の状態

つまり、入浴していないということ


ブレザーは脱いでおいたから、中のシャツは洗濯に出そう

…って、休むんだから私服でいいか

着替えを先に用意しておき、脱いだものを洗濯機に放り込んで、戸を開ける


ん? 湯船に湯を容れなくていいのかって?

フッフッフッ…ここの風呂は24時間何時でも温かく浸かれる仕様なんだ

日本の湯浴みという仕来りが気に入った私にとって、1番不満のない設備だ。



『ふぅ〜…』



あぁ〜…癒されるな…長風呂してしまいそうだ

しかし、それでは休んだ意味がない

昨日、おそらくトリオン兵を破壊した“彼”を調べなければ


ふと、私は左手で右肩に触れた

そこにあるのは、この世界で意味のもたない印

左肩と 実は額にも、同じものがある


この【証】は、我が故郷を かつての仲間を忘れないため

そして私が、この世界の人間ではないという【証明】


私の予想が当たっていれば、きっと、彼も…───



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