-血統がない王太子と 血統の消えた王子と 血統を捨てた王女-

□#ses【絵心と切磋琢磨:後編】
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ナルサスと出会い、ひとり友人が増えたローゼンタール。


ダイラムに住んでいる彼はたまに、自分達が鍛錬している場へ 道具1式を持って訪れる。



『ねぇ、いつも思ってたけど…それ重くないの?』


「馬に乗せて来るから平気だ」



本日も 汗水垂らす2人の隣で、金の少年は絵筆を滑らせている。



『馬!? ナルサス馬乗れるの!?』


「あぁ、ここからダイラムは遠いからな」


『いーーなーーー! あたし馬乗ったことないんだー!』



この国、もとい時代の主な移動手段は【馬】


しかし生き物であるが故、そう簡単に乗りこなす事は出来ない。

王宮育ちであった彼女は 最近初めて馬を見たものの、跨ったことはないのである。



「おいロゼ、鍛練中だぞ」


『分かってるよ〜、ちゃんと身体動かしてるじゃん…かっ!』



目の前のダリューンに注意されながら、左回転。


現在 体術の手合わせ真っ只中なのだ。



「っと…!」



回し蹴りをギリギリで避ける。

予想外の速さだったのもあり、内心驚きながらも 次の手に。



「ふっ…!」


『よっと!』



右拳を前に突き出すが、ロゼには当たらない。

後ろに何回かバク転してから、構え直した。



「(ほぉー、思ったよりよく動くな…)」



あまりの身のこなしに キャンパスから視線を移して観戦するナルサス。


身軽なのもあり、素早い動きで翻弄するローゼンタールは 見ていて飽きないのだ。



『いっくよ〜、リュー!』


「よしっ 来い!!」



離れていた位置から、手を振って合図。

その場で構えのまま 何度かジャンプの後、走り出す。



『せーっ…のっ!!』


「…!」



彼との距離 中間地点辺りで、ロゼは大きく跳ぶ。


空中で1回転からの…



『はぁぁぁぁあっ!!!』



ダリューンの頭部へ 手加減無しの踵落とし。



「ぐっ…! (重いっ…だがっ!)」


『うおっと!?』



腕を十字に交差して受け止めたが、思ったより威力があった。


しかし、ここで下がる男ではない。

脚に力を込め 上へと押し出すと、少女のバランスが崩れる。



『っ…こんっの!』


「はぁっ!」



少し後ろへ着地してから、追撃に出ようと 拳を繰り出す。

対するダリューンも、同じ手に。



「そこまで!!!」



お互いの顔に届く刹那、終了の声。

今までずっと黙って見守っていた、ヴァフリーズだった。


腕の長さ的に、ダリューンの拳がすれすれだったが。



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