-奇石のすべは奇跡を生み出すか-

□Crerk.3【2度目の水辺:後編】
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「町の名前はダブリス。

 アメストリスっていう国の南部にあるの」


『ふんふん……にしてもあついんだな…』


「ここは南部の中でも避暑地だからな。

 お前が倒れていた水辺はカウロイ湖で、観光名所でもある」


『へぇ…あんまりおぼえてないけど、あそこみずうみだったのか』



カーティス家を出て 色々と説明しながら歩く。

右手はイズミと 左手はシグと手を繋いで。

道行く人は微笑ましそうに笑顔。


本当の親子ではないが お互いの事を話したのもあり、遠慮は見当たらないからだ。



「どのコップがいい?」



近くの雑貨屋に寄り、いくつか並ぶマグカップを指す。

様々なデザインに 目を引かれながらも考える。



『うーーん…あ、これ モグににてる』


「モグ?」



その内のひとつ、青色に動物が描かれたものを指差した。



『モーグリぞくっていう しゅぞく【種族】だ。

 にんげんじゃないけどしゃべれるし、ひともおそわないから ゆうこうかんけい【友好関係】をむすんでて…ちなみにこのいきものは?』


「羊だよ。こいつみたいな毛があるの?」


『うん、モコモコしてる』



抱きしめていると気持ちかったな…と思い出しながら『これがいい』と頼む。

「よし、決まりね」と棚から取り、他の購入品と一緒にレジへ。



《おやイズミさん! その子は?》


「今日からうちに住む子なんです。

 分からない事が多いので、気にかけてもらえると助かります」



対応してくれた店員のおばさんが、打ち込みながら会話。

少女の肩を持って、イズミは笑顔に。



『マリです…よ、よろしくおねがいします…!』


《よろしくねぇマリちゃん! 困った事があったら何でも言ってね!》


『は、はい…!』



心は大人でも、やはり緊張するもの。

ペコリと頭を下げて、自己紹介を。

温かい人情に 嬉しさが込み上げてきた。


店を出て、外で待っていたシグと共に 再び歩き出す。



『イズミさんをしってるひと、おおいんだな』



また手を繋いで、ふと話の種に。



「うちは肉屋をやってるからね。

 後は錬金術でたまに直したりしてるのもあるかしら」


『へぇ… (錬金術、か…)』



イズミの口からよく聞く【錬金術】

初めてではないものの、自分の世界の知識と比べれは 明らかに違う。



『(イズミさんは人体錬成をしたと言ったが、そもそもこの世界の錬金術は どんなものなんだろう…)』



チラリと、上の彼女を見つめる。



「ん、どうかした?」



行動に気付き、笑いかけてくれた。

まさか見てくれるとは思ってなかったので、少し驚いて視線を逸らす。



『あ、えっと…れんきんじゅつ【錬金術】って、どんなものなのかなって…』


「どんなもの、か……説明すると長いんだけど、実際見てもらった方が早いかしらね。

 家に帰ってから話すわ」


『わかった』



まだ自分の世界の錬金術は話していない。

その部分は濁し、単刀直入に聞いてみる。

顎に手を当て 少し悩みながらも、帰ってから教えてくれると約束してくれた。


他に必要な物のために何軒か寄ってから、カーティス宅に帰宅する。



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