-黒赤天使の羽は何色?-

□Story.3.5【命懸けの運命】
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2064年 年末頃。


フェンリル極東支部に、新たなゴッドイーターが入隊することとなった。



「姉上、新人が子供…って噂は本当なんすか?」



今まさに、ミッションから帰還中のゴッドイーターが2人。



「私も最初は疑ったが…本当だ。なにしろ、その子供のひとりは 支部長の息子だからな」



どちらも黒髪で、顔付きも少し似ているところをみると 姉弟らしい。


凛々しい顔立ちに 前髪で顔が半分隠れている女性 雨宮 ツバキ。

対して 彼女より少し若い 煙草を吹かす男性 雨宮 リンドウ。

戦歴は姉の方がダントツだが、それに劣らぬほどの才覚で 極東支部のツートップともいえる2人。



「…しかも、出処はどうあれ「死神」と「黒赤天使」が その2人らしいからな」



そんな彼等が話す内容は 噂であり、真実であった。



* * *



数日後。


支部長とサカキ博士直々の呼び出しで、極東支部のゴッドイーターが出撃ゲート前に集まった。

といっても全員ではなく第1部隊のみで、人数は少ない。



「やっぱり噂通りだったっすね、姉上」


「姉上と呼ぶな…サカキ博士も一緒とは、少し驚いたがな」



先程の2人 ツバキとリンドウ。



「どんな子だろうな、男の子と女の子だろ?」


「俺より若いのに入隊するなんて…気になるなー…」


「おぉ?タツミは女の子狙いかー?」


「そんなんじゃないですよハルさん!」



オリーブ色の髪の青年 真壁 ハルオミと、彼より若い焦げ茶髪の青年 大森 タツミ。

以上、4人が雑談をしながら 新しき仲間を待っていた。


それから数分もしない内に エレベーターが開き、降りてきたのは…



「やぁ、第1部隊の諸君」



この極東支部 支部長 ヨハネス・フォン・シックザール。



「こっちだよ、イスカ、ソーマ」



その隣には ペイラー・サカキ博士。


最後に後ろは…



『わー!ソーマ、こっちだってー!』


「…分かってる」



肩くらいの黒髪に、赤い瞳の少女。

藍色のフードを被った 肌が黒めの少年。


あまりに対極なテンションの違いに、初見の彼等は少し驚いた。



「…さて、忙しい中 集まってくれて感謝する。

 今日は君達に、入隊した私の息子達を紹介したくてね。


 さぁ 自己紹介しなさい」



ポンポンと ヨハネスは少女の頭に手を置き、促す。

すると 向かい合った4人の前に出るように 1歩踏み出した。



『はい!!イスカはイスカ!桐雪イスカ!

 えっと、10さい!じんき【神機】はスナイパー!よろしく!!!』



シュバッ!と左手を掲げて、間をあけず言いきる。

もちろん笑顔。


そして、隣の少年を見つめる。

『つぎはソーマだよ!』みたいな感じの顔で。



「…ソーマ……よろしく」



こっちはたった二言、しかもかなりの間をあけて。

さっきもいったが、真逆である。



「ゴホン…では、後の事は本人にでも聞いてくれ。私達は、これで失礼するよ」


「じゃあね、2人とも」


『はーい!またねーパパー!』



用が済んだらさっさと退散。

そんな言葉通り、付き添いの大人2人は行ってしまった。



「あらら…紹介終わったら行っちまったな…」


「彼等も忙しいのだ、仕方ないだろう。さて…そこの2人、こちらへ」


『ん?あい!』


「…引っ張るな…」



部隊のリーダーを任せられているツバキは、子供達を呼ぶ。

何もなければ人懐っこいイスカは、とてとてと近付く。

隣の友を連れて。



「初めまして、私の名は 雨宮ツバキ。極東支部 ゴッドイーター 第1部隊の隊長を務めている。

 隣の男は、私の弟で 雨宮リンドウ」


「おっす、少年少女!俺はリンドウだ、よろしくな」



彼はポンポンと 少女の頭を撫でる。



『ツバキねぇに…リンドーにぃ!よろしく!!』


「………」


『ソーマ、よろしくしないの?』


「……よろしく」



年上には敬称を付けるようで、ニコニコしながら手を差し出す。

ツバキは特に何も言わず 握手を返したので、不満は無いらしい。


一方で、無言のままのソーマに促した。

なにしろ“よろしく”を教えたのは、他でもない彼だから。


言われて折れたのか、渋々と挨拶した。



「次に、背の高い方が 真壁ハルオミ。低い方が 大森タツミ。彼等も第1部隊の隊員だ」



なんとも分かりやすいような、分かりにくいような説明。



「…なんか、紹介大雑把じゃないっスか…?」


「気にするな」



ハルオミもそう思っていたらしく苦笑いだが、全然動じない彼女。



「よろしく!イスカ、ソーマ」


『よろしくー!』


「…よろしく」



この中で1番歳の近いタツミは、あまり気にせず握手。

「俺のことは呼び捨てでいいぜ!」と言った彼に『わかった、タツミ!』とも。



「よし…イスカ、ソーマ。早速だが、お前達の戦い方を見せてもらうぞ。

 イスカの神機はスナイパーだったな。ソーマ、お前は?」


「…バスターソード」


「ふむ、ならペアでやってもらう。訓練室に行くぞ」


『はーい!』「………」



*
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