-音と.雷と.宿命と.-

□第2話【NEXT GENERATION】
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新人魔導士 リイデ・テルが加入した次の日。



「はぁ…」



同じく新人だが、リイデより数ヶ月先に加入。

金髪の美少女 ルーシィ・ハートフィリア。

カウンターに項垂れて、疲れた表情を浮かべている。



「あら? 元気ないわねルーシィ。どうしたの?」


「お金無い…」


「お嬢様のセリフとは思えないわよ」


「違います! あたし家のお金なんて一銭も持ってきてないんですよ!!」



カウンター越しにミラが聞けば、お金がなくて困っているらしい。


ルーシィの家賃は月7万ジュエル。

確かに高めだが、悩みどころは他にもあるらしく…



「高額の仕事行っても…ナツやグレイが色んなもの壊しちゃうから、報酬額減らされちゃうしさー…」



いつもの喧嘩で当たり前に物を壊すナツとグレイ。

それを力ずくで止める為、町を壊してしまうエルザ。

チームに3人も破壊魔がいれば、もうそれは“日常”である。



「おし! オレからな!!」


「オメェにゃムリだよ」


「本当…人が悩んでんのにいい気なもんよね」


「あんなもの何処から持ってきたのかしら?」



カウンター正面には、ビリヤードの台がどどーんと置かれている。

そこにはナツとグレイとハッピーが。


ナツが棒を構え、そして…



「うおりゃあっ!!!」



白い球で他の球を破壊したのだ。


そうです。

また破壊してるんです。



「ちぇー、6個かぁ…」


「さっすがナツー!」


「バカ言え! 5個だろ!! 1個はヒビ入ってるだけだ!!!」


「遊び方違う!!!!」



3人共何を間違えたのか、ルールを履き違えている。

あまりの事に凄い形相でツっこんだルーシィ。



「…あの通り、物を壊す事に悦を感じてるんじゃないかしら」


「そんな事ないと思うけどな〜…」


「あーん!! これじゃあ今月の家賃払えないよぉ〜〜っ」


「…じゃあとっておきの仕事、紹介しちゃおうかなー?」


「え?」


「すっごくルーシィ向きだし、何かが壊れる心配もないやつ♪」


「ふぇ?」


「それに…───

『ミラさーーーん!』



タッタッタッ…と手を振りながら駆けてきたリイデ。

もう片方の手にはトレーを持っている。

昨日と同じように、ミラの手伝いをしていたようだ。



『お料理の配膳、終わりましたです!』


「ありがとうリイデ、助かったわ!」


『いえいえ…泊めていただいたので、このぐらい訳ありません!

 あ、ルーシィさん! おはようございます!』



ルーシィがいる事に気付き、挨拶したリイデ。

ペコリと丁寧なお辞儀付きだ。



「おはようリイデちゃん! 名前覚えてくれたのね!」


『昨日ミラさんから、皆さんのお話を沢山聞きましたから!』


「ギクッ……た、例えば?」


『えっと……ルーシィさんが、傭兵メイドゴリラを一撃で倒されたとか!』


「また色々混ざってる!!!!


 ミラさ〜ん変な事教えないでくださいよ〜!」


「フフッごめんね、なんだか面白くて…」


『?』



以前にも別の人とこんなやり取りがあったような無かったような…

2人の言っている事が解らず、首を傾げるリイデ。


直後、話を切り替えたのはミラだった。



「それはともかく…さっき言ったとっておきの仕事について、ルーシィに頼みがあるの」


「何ですか?」


「リイデ、貴女にも仕事の話があるわ」


『あ、はい!』


「(ん? これってもしかして…)」



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