-音と.雷と.宿命と.-

□第1話【Welcome FAIRY TAIL!】
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X.784年 ある日の朝。


今は諸事情で 旗しか掲げられていないギルド 妖精の尻尾【フェアリーテイル】

ひとりの少女がその旗を、じっと見上げていた。



『…ここが…妖精の尻尾【フェアリーテイル】……ですよね…?』



そう零した少女、正確にいうと身長が低めで 少し幼く見えるようだ。


髪は東洋にある果物「ミカン」を思わせる明るいオレンジ。

瞳は薄い緑、宝石のペリドットのように透き通っている。

服の上に白のローブを羽織り、左手に杖を持っている所を見ると 魔導士である事は確実だ。



『(先程の人も、ギルドの方なのでしょうか…)』



顎に手を当て、何かを考え始めた彼女。



『…って、今から悩んでも仕方ないですよね……よし!』



だがあっさり考えを止めて、1つ頷いて前へ踏み出した。



* * *



「あんのヤロォ…!」


「もういい…あいつと関わると疲れる」



場所はギルドの中。

といっても天井も壁もなく、砂地の上に何卓かのピクニックテーブルが置かれているだけだが。


先程「自らがマスターを継げば弱い者は全て排除、史上最強のギルドにする」と、そう宣言したラクサス。

そんなこんなでナツは喧嘩腰になってしまい、それをエルザが宥めていた。



「全く……ん?」



明らかに雰囲気が下がっている中、エルザは溜息混じりに ギルドの入り口で見慣れない人影を見つけた。



「(…サシェ…か…?)」



その人物…先程の少女は、キョロキョロと辺りを見回している。

自らの思い出にいる“彼女”を思い、自然と少女を見つめるエルザ。

ふと視線を向けていたエルザと目が合い、少女は一礼をして口を開いた。



『あの〜、すいません…

 こちらのギルドは 妖精の尻尾【フェアリーテイル】で間違いありませんか?』


「(…いや、よく似ているが…違う…)

 あ、あぁそうだ。依頼か何かか?」


『あ、いえ! 依頼ではなくてですね…その……』



口ごもり、言葉を止めた彼女。


そんなやり取りにナツ達も気付き、2人の方へ視線を向ける。



「サシェ…? じゃ、ねーな……おんなじ匂いがすんのに…」


「アイツの親戚か何かか? ほぼそっくりじゃねぇか」


「サシェ? その人って、前にミラさんが話してくれた…」


「えぇ。

 マスターの補佐をしている人で、彼女は私達をとても可愛がってくれたわ…ほんとにそっくり…」


「へぇ〜…」



ミラへの視線を、再び少女へ向けたルーシィ。

ナツ達も懐かしの人物を思い出したからか、少女を見つめる表情が優しくなる。


彼女も心を決めたのか、俯いていた顔を上げて真剣な表情を見せた。



*
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