-桜色に染まりし姫君-

□#Tre【Piccolino】
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『幽霊〜?』


「…うん…あの…姉さんも 一緒に来てくれないかな…?」


『はぁ…分かったよ』



空は漆黒に包まれる 夜中の時刻。


リベルタ、ノヴァ、フェリチータの3人は、厨房の入り口で 中の様子を窺っていた。

一緒にいるウィディーエは、扉近くの壁に寄り掛かっているだけだが。


こんな事になったのは今日の昼、少年少女組に依頼…正確にいうと頼み事があったからだ。

ノヴァの場合は リベルタに突っかかられて同行したようなものだが、何故姫君までいるかというと…


ただ単に、3人の話の途中に偶然居合わせたからだ。



『ふぁ〜あ…』



見張っている間、仮にも女性のウィディーエが 大きな欠伸をして眠り目を擦っている。

一番近くにいたノヴァは、呆れた目で彼女を見た。



「おいウィディーエ、武術長のくせに何だそれは…」


『…あ? ねみぃんだよ…欠伸くらい誰でもするだろ───

「んだあぁぁぁ!!」



突然、彼女の言葉を遮ってリベルタが叫んだ。

ノヴァは「しーーっ!」と言いながら注意している。

姫君はそのままの体制で、目線だけを向けた。



「どうしたの!?」


「あはー いや…な、何でもな───」



次の瞬間 偶然なのかわざとなのか、彼が伸ばした手が、フェリチータの大きな胸に触れる。

やらかした本人のリベルタと 間近で見ていたノヴァは驚愕の表情をしていたが、

フェリチータとウィディーエは、冷たい目でリベルタの行動を睨んだ。

姫君に至っては、黒いオーラが滲み出ている。


勿論その後は、フェリチータがリベルタに蹴りを入れまくっていた。

途中彼女のスカートの中まで見てしまった彼は、ナイフまで向けられている。

ウィディーエは腕を組み、先程よりどす黒いオーラを出して リベルタを一層睨んでいた。



『リベルタ…後で覚えとけよ…』


「(コイツまで怒らせている…あのバカ、ただでは済まないな…)」



そうこうしている内に、リベルタがフェリチータに飛ばされ、隣の部屋に倒れこんでいた。

そしてすぐさま硬直しているお嬢。


ノヴァとウィディーエは様子を見に 隣の部屋を覗くと…



『これって…───

「「きゃあぁぁぁ/うわあぁぁぁ!!!」」


『………』



ウィディーエが何か言おうとした前に、フェリチータとノヴァの悲鳴に掻き消されてしまった。



───…



「「「パーチェ避け!?」」」


「はい…皆さんを驚かすつもりは、無かったんですが…」



時間は少し過ぎて、ここは厨房。


幽霊を“造った”本人 ルカから事情を聴いていた。



「幽霊の正体見たり、だな…くだらない」


『(一番驚いてたくせに……さて)』



心中でノヴァにツッコんだウィディーエだが、何を思ったのか、ルカとリベルタの後ろへ移動する。



「リアルさにこだわって、錬金術で少し細工もしましたからね…

 いやー、あんなに驚いてくれるとは…───

『ルカ』


「…はい?」


『リベルタ』


「…え?」


『まぁ取り合えず…死ねとは言わないから、くたばれ』


「「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」」



彼女は容赦なく、強烈な蹴りをお見舞いした。


夜中に2人の断末魔が、館に響いたという…



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